「無限に広がる可能性を探す」お手伝い

更新日:5 日前

UJAキャリアディベロップメントWG/イリノイ大学

山田 かおり

UJAキャリアディベロップメントWG/ハイデルベルク大学

鈴木 里沙

UJAキャリアディベロップメントWG/マックスプランク植物育種学研究所

中野 亮平トーマス

昨今のアカデミアキャリアの現状と課題


大学院進学や研究に興味を持っていても、様々な理由でためらう人達がいます。将来への漠然とした不安、さしあたっての進学費用への不安、奨学金という名の借金を背負って大学院卒業後十分稼げる職につけるのか、不安は尽きません。


また、研究の道に進むと心に決めていても、果たして自分がやっていけるのか、ダメだったらどうなるのか、知らないことが多いと不安になるものです。では、今第一線で活躍している研究者は学生のころから抜きんでていたのでしょうか?そんな人もいるでしょうが、普通の、ただ研究が好きなだけの人もいます。そして誰もが不安で、悩んで、回り道をして、少しでも自分が納得できるほうへ進んできました。そんな、ちょっと先を歩いている先輩と、今まさに悩んでこの道に入ろうとしている後輩とをつなげることができたら…そんな思いをもって、私たちキャリアディベロップメントグループは活動をしています。



キャリアディベロップメントグループの取り組み(中野)

(図1)UJAはYoutubeやTwitter spaceを使って情報発信をしています。今後も色々と配信を考えていますが、そのために動画編集や企画運営をしてくれる仲間を募集しています!

キャリアに正解はありません。それぞれが違うバックグランドで、違う思いをもって、違う夢をもって、違う心と身体をもって進むのがキャリアというものです。なので、私たちから「これが正解だよ」と提供することはできません。

そのかわりに、UJAはたくさんの先輩たちを知っています。これまでにたくさんの経験をしてきたたくさんの人たちを知っています。


そんな人たちの経験談を色々な角度から見聞きして、それぞれの自分の、それぞれのひとりひとりの糧にしてほしい。私たちはそんなことを実現するための活動に取り組んでいます。


たとえば、海外で活躍する研究者にインタビューをしてその動画を配信したり、日本国外で活躍するPI研究者の座談会をTwitterスペースで生配信して、そのナマの現実を共有したりしています。

また、UJA質問箱では、様々な方からの質問を受けつけています。ダイバーシティに関する悩みやキャリアに関する悩みなどに対し、グループ内だけでなくUJA全体の知恵と経験を使ってお答えしています。



ところで皆さんは、将来の夢、いつ定まりましたか? 幼少期から心に決めたものがある人もいれば、大学に入ってもまだよくわからなかった、という人もいるでしょう。そのなかで、高校時代に体験した・感じたことというのは強く記憶に残っているのではないでしょうか?高校時代というのは、将来に関して具体的なイメージが少しずつ見え始め、なにかと考え始める時期だったという方も多いのではないでしょうか。 そんな多感な時期の高校生と一緒に「海外留学」について考え、もし留学をしたいとなればそのお手伝いがしたい、そんな思いで「高校生留学デザインプログラム」を開催しています。現役の高校生と今まさに海外で学ぶ大学生・大学院生をオンラインで繋ぎ、情報と意見を交換し、自分の未来のために留学というオプションにどう向き合うか、生徒ひとりひとりが自らの留学をデザインしていけるような、そんな場を提供しています。



隣の芝生は青い。


外から見ているときらびやかに見えるキャリアも、実際には色々な苦悩がつきものです。高校生からの憧れをもって、あるいは大学で突如閃いて海外に飛び出し、いざ海外生活を始めてみたものの、思っていたよりも辛い、こんなはずじゃなかった、もう帰りたい、と自信を失う時もあるでしょう。


そんな時に、今でこそ海外でバリバリ活躍するあの先輩にもそんな時期があったのだと知れば、あるいはあの先輩も同じ悩みを抱えていると知れば、少しは力になったりするのではないでしょうか?そんなことを思い、私たちは最近、ブログプラットフォームNoteを利用して「キャリアセミナーシリーズ」を始めました。


多くの先輩方に「楽しかったこと」だけではなく、色々な悩みや苦しみも吐露してもらい、海外挑戦への準備の糧にするとともに、いま海外で頑張るみなさんの心の支えになればと思っています。また、海外留学・海外研究というのは、本人だけでなく家族にも関わる大きな決断です。パートナーや子どもなどだけでなく、親兄弟、祖父母、様々な要因が複雑に絡まってきます。私たちの活動や、私たちの発信する海外留学・研究に関する情報が、留学に悩む誰かを家族にもつ方々にとっても有用であることを期待して、これからも取り組んでいきます。



Note企画「キャリアセミナーシリーズ」に込める思い(山田)


「将来なにになりたい?」


小さい頃から何度となく繰り返された質問です。年齢が進むにつれ、具体性が増し、プレッシャーにもなってきます。研究が好き、ならばそれを活かした仕事はなんでしょうか。大学教員が身近にいる大学生にとっては、大学教員が真っ先に頭に浮かぶでしょう。でも席も限られているし、自分はなれるだろうか、と不安になるかもしれません。では企業に行って研究者はどうでしょう?どうやったらなれるでしょう。その他は?


本当はもっとたくさん、無限の可能性があるかもしれません。でもその可能性を知らないでいると、どうやったらなれるのかもわからないし、それを調べることもできません。


仮説をもとに新しいことを発見していきたい人にはアカデミア(大学など)での研究が向いているでしょう。大学教員といっても独立した研究室の主宰者もいれば、大講座の助教もいます。研究にかかわる教員も、教育をメインとして授業だけ受け持つ教員もいます。



(図2)Note企画キャリアセミナーシリーズ。イイネに応答する「ありがとう」画像はフリーランスのサイエンスイラストレータ、小林 沙羅(https://sarakoba.com/ )さんに描いていただきました。

研究だけに特化してやっていきたいなら研究所で勤務するのもいいでしょう。大学と提携した研究所もあります。またコアファシリティ(共通機器室)で研究を支える専任研究員もいます。直接研究をする仕事ではなくても、University Research Administrator (URA)として知財の扱いや研究計画書の作成の補助、研究費獲得に伴う事務仕事の補助など、研究者を支える仕事もあります。サイエンスコミュニケーターとして、わかりやすく科学の知見を周知する仕事もあります。研究費を審査し配分して国の研究を支えるのも大事な仕事ですし、審査の采配をする人たちも博士号を持ち、専門的な目で数多くの研究費申請書を見て適切な審査を遂行しています。

では企業はどうでしょう。理論やメカニズムを研究するよりも、研究成果を社会に具体的に還元したい人にはアカデミアより企業のほうが向いているかもしれません。研究部門で研究をするか、営業をするか、マーケティングをするか、開発をするか・・・。製品を社会に送り込む過程で様々な立場からの貢献があり、自分がどれに向いているか、どれに興味があるかも人それぞれなのです。


既存の枠組みにとらわれずに強い夢を実現するには、いっそ起業してしまう手もあります。アカデミアで発見・発明したものをもっての起業も、企業からの独立での起業も、どちらも強い実現力、行動力をもって夢を形にするキャリアパスです。昨今では起業を支えるセミナーもありますね。


いかがでしょうか。 研究に興味があるといっても、様々なキャリアパスがあり、可能性も夢のキャリアパスも人の数だけ、無限にあるんです。私たちは様々なキャリアパスを持つ先輩たちの体験談をひとつずつ、定期的に紹介しています。先輩たちが悩んでもがいて進んできた道を見て、不確かだった未来が具体的に見えてくる気がしませんか?



そしてなりたいものがおぼろげにでも見えてきたら、それには何が必要だろうって考えてみましょう。大学を出て得られる学士、大学院を出て修士や博士、それらは国際社会でも通用する学位です。自分のなりたい職業にはどの学位が必要でしょうか?どこまで取っておけば有利に進めていけるでしょうか?大学を出てすぐ大学院に入らなくても、企業に入ってから社会人博士として通うこともできます。いったん働いて学費をためてからでもいつでも戻ってこられます。また育児や介護でいったん離れてからでも、大学院に入りなおして、いつでも続きを歩いて行けます。



大学から海外に行くケースも増えてきました。大学院からの留学もありますし、短期の交換留学もあります。博士号をとってから海外でポスドクをし、日本に帰ってきて就職することもありますし、そのまま海外で働くこともあります。体験談を寄稿してくださった先輩たちも、いろんなタイミングで海外に行っている人、日本から出ていない人、など様々です。それぞれの夢の実現になにが必要で、どうすれば叶ったか、いろんな人の体験談を見て、考えてみてください。あなたの夢は日本で叶えますか?それとも海外で叶えますか?


いつ、なにを、どうするか、すべては未来への布石であり、可能性は無限にあります。自分のなりたいものになるために、なにかのヒントになればいいと思っていますし、相談も受け付けています。



Noteでの発信と、質問箱での相談受付、座談会や、インタビューなど、様々な手段で皆さんに情報をお伝えし、キャリアの一助になれればと思います。



学生の立場からみるキャリアディベロップメントグループの活動(鈴木)


Note企画 では、大学院生から企業研究者、大学教員まで、様々な職種・キャリアステージの方の体験談を掲載しています。才能に恵まれて輝いてみえる大学教授や様々な形で研究に携わる方々は、どんな大学・大学院生活を送っていたのでしょうか?


Noteの編集に携わる一方で、私自身も一読者として記事を読み学ばせていただいています。例えば、先輩方が、自分と同じ大学院生の時に、キャリアについてどう考え、悩み、行動してきたのか、どんなことを意識して研究生活を送っていたのか。次のポジションを見つけるために何をすればいいのか。率直な気持ちや悩み、試行錯誤の経験を赤裸々に執筆された記事を読むことで、先輩方と自分自身を比較して、自分はどんな職につきたいのかどんな職が向いているのか、今何を頑張るべきなのか、自分自身を振り返り将来について考えるとてもいい機会となっています。


これからも多様な職につく方々にキャリア選択についてご執筆いただき、より多くの方のロールモデルとなるような記事集めに励みたいと思います。




今後について


キャリア選択にプライベートの悩みはつきものです。キャリアを大切にしたいからといって、家族を持つことや家族と一緒に暮らすことを諦めたり、パートナーがキャリアを諦めたりしなければいけないのでしょうか。


海外で働いたり国内で新しいポジションのために移動したりするとき単身赴任をするのか、それとも家族を帯同するか、一緒に移動するのであればパートナーの仕事はどうするのか、研究と子育てや家事を両立するのはどうしたらいいのか、アカデミアに残る女性ならいつ出産するのがいいのか、考え始めると悩みはつきません。



そんな悩みに直面した時、先輩方はどうやって解決してきたのでしょうか?


一人ひとり悩みが違うように、一つの答えがあることではなくて、家庭の数だけ違った選択肢や解決策があるのではないかと思います。それでも、同じような悩みを持って対応してきた先輩方の経験を聞くことが、いま悩んでいる人の助けになるのではと思います。今後は、座談会やインタビューを通して、先輩方のキャリアに伴うプライベートの悩みについても経験談を集めて、Noteの記事として公開していければと思います。



メンバー募集


キャリアディベロップメントグループでは、こんな目標に向かって一緒に走ってくれる仲間を募集しています。グラントやフェローシップ情報の収集と公開、収録済みの動画の編集と公開、あるいは新しい企画の立案と運営など、キャリアグループでの活動の可能性も無限大です。


UJAを通してキャリアパスの多様化に貢献したい、ダイバーシティの推進に貢献したい、迷える子羊を救いたい、迷っている自分を誰かに救って欲しい、そんなみなさんは是非ご一報ください!

(email: uja.career [at] gmail.com)



著者略歴


山田かおり。東大卒、同大学院博士前期課程修了、大学院在学中に共同研究者先に留学するため渡米、イリノイ大学で研究員として働きつつ、東大大学院にて博士(農学)取得。イリノイ大学医学部で博士研究員、Research Assistant Professorを務めたのち、2019年より同大学Assistant Professorとして独立研究室を主宰。専門は血管細胞学、がんや目の病気のための創薬。


鈴木 里沙。2018年 名古屋大学農学部卒、2020年 同大学院創薬科学研究科博士前期課程修了、2020年~現在 ドイツ・ハイデルベルク大学 (Heidelberg University, Centre for Organismal Studies) 博士課程在籍。


中野 亮平トーマス。京都大学理学部卒。2012年同大学院理学研究科博士後期課程修了、博士(理学)。2013年よりドイツ・マックスプランク植物育種学研究所(ケルン)にて博士研究員。2013年から2015年まで、日本学術振興会海外特別研究員。2019年よりドイツ科学振興協会(DFG)の助成金を獲得し、同研究所にて独立研究員。専門は植物細胞生物学、植物微生物相互作用、植物マイクロバイオータ。