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逆カルチャーショックから見えた、これからの働き方と日本社会~留学を経た若手社会人からあなたへ~

横浜国立大学 留学生就職支援コーディネーター

飯田友希(いいだゆうき)

編集部からの紹介
ビジネス特化型のSNSとしてLinkedInが知られています。留学生就職支援コーディネーターとして活躍されている飯田友希さんは、LinkedInを上手に活用して日本に来る外国人留学生の就職支援活動をされています。日本人留学生を支援するUJAとは逆のアプローチで国際化の推進に取り組まれています。ぜひご覧ください!(UJA編集部 赤木紀之)

はじめに


社会人になり約5年が経った今、自身の学生時代の留学経験を振り返る機会をいただけたことに感謝します。

 本稿では留学が私の現在までのキャリアにどのような影響を与えたか、また、私が卒業後一貫して取り組んでいる「外国人留学生の就職支援」にも言及します。これから海外へ行く日本人留学生にとって、日本国内で学んでいる外国人留学生の話題はもしかすると遠い話に聞こえるかもしれませんが、双方とも「グローバル人材」と呼ばれることも多いですし、留学中や留学後に交わる機会は多いのではと思います。本稿を通して、留学後のキャリアの一例として呼んで頂くことで、新たな視点で留学の可能性を感じていただけたら嬉しいです。


「多様性万歳」の留学から、「個性は潰せ」の就活へ


大学3年生の当時、小学校の先生になりたかった私は、小学校で勉強している外国にルーツのある子どもたちへのサポートを学びたいと考え、移民への言語教育システムに興味を持ち、カナダ・オンタリオ州への留学を決意しました。一般的な高等教育機関への留学ではなく、カナダの公立小学校や公立図書館でフィールドワークをするという自由な留学を叶えてくれた、文部科学省の留学プログラム「トビタテ!留学JAPAN」には感謝しています。


渡航前は言語や文化の壁に不安を感じながら渡航をしましたが、カナダで過ごした9か月間、むしろ日本よりも生きやすいのではないかと感じていました。日本の文化が好きだと言ってくれる人々、ルーツのある自国の文化について誇らしげに教えてくれる人々に出会い、生きやすさの根源は「多様な文化の受容や尊重」であるということを外国人として身をもって実感しました。


「人と違うことってなんて素晴らしいんだ!!」と、思いながら帰国した大学3年生の冬、小学校教員から民間就職へと路線変更した私を待っていたのは、「就職活動」という、日本独特の多様性尊重に反する(ように見えた)文化でした。カナダで感じた多様性を尊重する雰囲気からのギャップは半端なく、企業説明会にほぼ金髪&ショッキングピンクのセーターで参加し、就職先が決まらない崖っぷちの4年生。想像すると痛いですね(笑)。


ただ、日本の就活文化・仕事文化に息苦しさを感じているのは私だけではないこともこの時に知ることができました。地元で外国籍の方と直接会える機会を探して話を聞いてみると、多くの人々が「日本で生活するのは最高だけど、仕事をするのはとてもしんどい」と言います。日本で暮らす外国人の気持ちに深く共感できた瞬間でした。


留学生vs日本企業


「日本のことを好きでいてくれる人たちをサポートしたい」という思いが伝わり、なんとかガッツで拾ってもらった企業は、行政の外国人支援事業を担当している大手人材会社でした。日本で働くためのビジネスマナーはもちろん、東京都の外国人就職支援事業や教育委員会のALT採用事業等に携わることができました。その後、日本最大級の外国人政策カンファレンスを開いていた一般社団法人日本国際化推進協会(JAPI)とご縁があり、大学に所属する留学生にフォーカスして就職支援をするきっかけをいただきました。


外国人留学生の就職支援に、日本企業のグローバル化は大きくかかわっています。様々な調査結果で、「日本で働きたい留学生は全体の約6割は日本で働きたいが、実際に就職できているのは約3割」という状況を目にします。


理由として考えられることは様々ですが、よく言われるのは、就職活動についての情報収集が不足しているといった留学生側の課題と、採用や人材活用における多様性や柔軟性が不十分な企業側の課題があるということです。日本の経済や少子高齢化を考えたときに優秀なグローバル人材を採用したい考える企業は多いはずなのですが、中々うまくいっていないのが日本の現状だと思います。


特に、英語で授業を受け、英語でそのまま卒業できるようなコースに在籍している留学生は、日本語を話す機会も少なく、応募できる企業がほぼ国内にない状況です。


私は現在、大学職員として留学生の就職支援を担当していますが、就職相談に来る留学生の約半分は英語での相談を希望しており、全留学生を対象にした調査でも、日本での就職を希望する回答者の約40%が英語での情報収集を希望しています。実際このような学生の就職支援には頭を抱えているところで、理由は言わずもがな「英語で応募できる日本企業が少なすぎる」ということなのです。


自分を大切にするためのネットワーキングのすすめ


私は留学生の採用を行っている企業の情報収集にはLinkedIn、留学生に向けた就活情報の発信には上記と合わせてYouTubeを活用しています。このようなツールは、支援者とつながると言う点でも有益であると感じています。自分だけでは小さな活動であっても、自らの発信を通して似た興味関心を持った人々と出会い情報交換をしていくことで、より多くの人に情報を届け、学び続けることができています。


ビジネスSNSであるLinkedInの活用は、就職支援という自分の仕事に役立つだけでなく、職場では知り合うことのできない様々な業種・職種の方や、その多様性に触れることを可能にしてくれています。社会人になると、どうしても業務をこなすことがルーティン化しがちですが、国内にも様々な生き方や働き方を体現されている方々の投稿を見ると、自分らしく働き生きることの素晴らしさを再確認できます。


国内外でシームレスに働きたいと考えている日本人留学生や、外国人留学生にとっても、情報交換が気軽にできる貴重なツールだと感じます。多くの情報が簡単に入手できる今だからこそ、常に自分に必要なものは何かを取捨選択しながら能動的に考えていく必要がありますが、同時に多様な働き方・生き方も、選びやすくなっているのではないでしょうか。


おわりに


留学中に受けた「カナダの想定外の生きやすさ」という衝撃と、留学後に受けた「日本の想定外の生きづらさ」という衝撃。その双方から自分の生き方・働き方に大きく影響を受けました。留学前も留学後も、社会やそこに生きる人から新たな価値観をもらっていると考えると、異文化に心を揺さぶられる機会はとても刺激的で、人生を変える経験になっているなと実感しています。


現代社会では、様々なビジネスがオンライン化し、以前よりも海外の顧客とつながりやすくなっています。留学を通して広い視野や知見を得ることは、将来働く・暮らす場所の自由度を広げられる可能性を大いに秘めたアクションだと感じます。だからこそ、社会に目を向けたときに、日本や日本企業は多様な学生に選ばれる会社となるための一層の努力が必要になっているとも思います。


世界的に見て、お世辞にも働きやすい国とは言えない日本ですが、それでも日本の事が好きで、日本で就職しようと頑張っている外国人留学生は国内に多くいます。様々な理由で就職希望の多くの留学生が就職できずに帰国してしまっている現状については前述のとおりですが、少子高齢化社会の日本において、優秀な留学生が日本を去ってしまっている事実は日本にとって大きな損失と言えるのではないでしょうか。


これからも私にできることを通して、日本で働きたいグローバル人材や、彼らを採用したい企業さん達を応援できるような活動をしていくつもりです。また私自身の将来のためにも日々「自分らしく働く・生きる」というトピックについては日々情報収集をしていきます。


本稿を読んでくださった方の中には、すでに日本企業で働いている方も、将来日本で働く学生さんもいることでしょう。ぜひ本稿を通して、日本で暮らす留学生や外国籍社員のこと、また自分らしい働き方について思いを巡らせていただけたら幸いです。そしてもし何かつぶやきたくなったら、ぜひLinkedInでお話しましょう!


著者略歴

飯田友希(いいだゆうき)。大学在学中にトビタテ!留学JAPANでカナダへ留学。オンタリオ州週オタワの教育機関、図書館、大使館などで日本文化を紹介するフィールドワークを実施。卒業後は(株)パソナにて、東京都主催の外国人支援事業等を担当。その後日本国際化推進協会(JAPI)へ転職し、外国人留学生向けのキャリアサポート事業を開始。20以_g01108_逆カルチャーショックから見えた、これからの働き方と日本社会-留学を経た若手社会人からあなたへ上の大学における留学生向けガイダンス、キャリアカウンセリングを担当。2022年~横浜国立大学の留学生就職支援を担いながら、全国の留学生への就活情報発信をYouTubeチャンネル「Yuuki's Career Channel」やLinkedinを通して行っている。

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