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自由のバランス

更新日:5月7日

京都大学 川上 聡経

UJAからニューズレターを発信しようと企画し、実に3年の歳月をかけて創刊にこぎつけた、まさに UJA GAZETTE の生みの親である川上さん。ボストンでの長期留学から帰還した今なお日本に留学中と称する心中はいかに?(UJA編集部 森岡 和仁)

チャールズ川を渡る毎日から、鴨川を渡る毎日となり、一年が経ちました。人生初めての梅雨と地元の人も暑いと言う夏が心配でしたが、幸い梅雨は記録的な短さで、夏はエアコンなしで、快適に過ごすことができました。むしろ冬の室内が寒くて大変でした。京都は歴史のある街なので、古い建物や保守的な印象がありましたが、新旧がほどよく調和しています。「自由」のイメージのある京都大学は、確かに自由な感じです。新しいことを色々経験しているせいか、時間の流れが遅く感じていましたが、慣れてきたのか、最近少し早くなったような気がします。


私がみなさんに伝えたいと思うメッセージを書かせてもらいました。私のメッセージをみなさんに何か考えてもらうきっかけにしてもらえると嬉しいです。


人生ですべきこと

「人生ですべきこと」は何でしょう? 考えている人はいいですけど、考えたことがない人は、もしよかったら、考えてみてください。 多くの人は、自分の「好きなこと」をしたいと思うのではないでしょうか。 私もそう思いましたが、それだけでは生きていくのは難しく、自分の「好きなこと」が「人のためになる」なら、世間に認めてもらえるかなと考えました。 ある時、Harvard Business School の会に参加すると、成功した卒業生が、講演で「ビジネスにするべきこと」として、私の考えと同じ「Love(好きなこと)」「Need(人のためになること)」に、「Good(得意)」「Paid(お金)」を加えて紹介していました。この概念のオリジナルは、日本の「生きがい」らしいです。私はこの四つの要素の中でも特に「Love」と「Need」が大事だと思います。


英語が好きで


子供の頃に通っていた英語教室の先生がユニークで楽しかったので、英語が好きになり、いつかアメリカに行きたいと思うようになりました。医学部に入学してからもその気持ちは変わらず、バスケ部の飲み会でOBの先輩に相談したところ「医者の留学には臨床と研究があるけど、研究の場合が多くて、研究はおもしろいよ」とアドバイスをもらい、研究に興味を持ちました。


サイエンスとは

研究室メンバーと

大学院で基礎の研究室にお世話になり、研究者と話すと医者や一般の人にとっての「サイエンス」と研究にとっての「サイエンス」に違いがあるように感じました。留学でより深く「サイエンス」に触れ、「サイエンス」とは「人のためになるもの」ではなく「好奇心に促されて真実を追求する」もので、その結果、得られた知識や経験の一部が「人のためになる」こともあると思うようになりました。私がどうして「サイエンス」が好きで続けているか自問自答してみると、私の「真実を知りたい」「新しいことをしたい」「挑戦したい」という「好きなこと」を「サイエンス」が満たしてくれるからだと思います。


Commonwealth Avenue の紅葉

コミュニティ


ボストンに行った時、誰も知り合いがいませんでした。留学当初は、せっかく海外に来たので日本人以外の人たちと交流しようと思い、日本人と日本人のコミュニティから距離を置いていました。その後、友人に何度も誘われ「いざよいの夕べ勉強会」に参加して以来、いくつかのコミュニティの運営に関わりました。私の「面白い人に会いたい」「新しいことを知りたい」という好奇心がコミュニティの運営に関わる大きなモチベーションになったのかもしれません。コミュニティへの貢献が認められ、ボストンの「裏(民間)総領事」「(無料)コンサル」「タウンページ」というニックネームを頂きました……


気づき


留学で気づいて嬉しかった、日本とアメリカの違いを二つ紹介します。

「コネ」「交渉」「政治」:日本人が悪いと考えがちな「コネ」「交渉」「政治」を、アメリカ人は有効に活用している。

「I」から「We」へ:日本人は自分だけで、アメリカ人は協力して、物事に取り組む傾向があります。どちらも大事だと思いますが、人が一人でできることには限界があり、人生には限りがあります。日本人が協力するようになったら、きっと素晴らしいことを達成できると思います。


『取り急ぎご報告まで。』


海外へ留学している研究者のありふれた日常生活を描く、研究者版の『サザエさん』『クレヨンしんちゃん』『ちびまる子ちゃん』になることを夢見て、ボストンで書き留めたエピソードをnote『取り急ぎご報告まで。で連載中です。


Memorial Drive から観たボストンの夜景

自由のバランス


アメリカには自由がありました。私はアメリカの自由に惹かれて留学したのかもしれません。そして、自由のバランスの大切さを知り、ほどよい自由を求めて京都に来たのかもしれません。


日本留学


日本に帰るのではなく、留学するつもりで、京都に来ました。人がしたいことをして健康になる「人がしたいこと × 健康」というコンセプトを広めたくて、その一例として「皮膚美容 × 健康」をテーマにした研究を始めようとしています。

あと、留学で得た知識と経験を日本に還元したいと思っています。留学や研究のことに限らず質問や相談のある人は、気軽に akinori.kawakami1112(いいヒフ)@gmail.com までご連絡ください。


取り急ぎご報告まで。


謝辞

UJA Gazette への寄稿のお誘いを頂きました UJA Gazette 編集部のみなさん、留学の機会を頂きました神保孝一先生、留学でお世話になりました David E. Fisher 先生に深謝いたします。


プロフィール


川上 聡経(かわかみ あきのり)。皮膚科医。医学博士。北海道函館市出身、札幌医科大学医学部卒業。札幌医科大学附属病院 で皮膚科医のトレーニングを受けつつ、札幌医科大学大学院医学研究科で基礎研究を学ぶ。Dana-Farber Cancer Institute と Massachusetts General Hospital への留学を経て、京都大学にて皮膚科の臨床と研究に従事している。好奇心に導かれ真実を追い求める一方、世界平和の実現を目指す。婚活中



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