原 英樹 Hideki Hara, PhD.

(Department of Pathology and Rogel Cancer Center, University of Michigan Medical School)

【ミシガン州】 審査員: 三品裕司先生(Professor, University of Michigan School of Dentistry) 鎌田信彦先生(Assistant Professor, Internal Medicine, Division of Gastroenterology, University of Michigan Medical School)

​受賞者紹介

受賞者氏名:原英樹  研究分野:Pathology 留学期間:3-5 years 論文リンク https://www.cell.com/cell/pdf/S0092-8674(18)31259-5.pdf

​審査員コメント

細菌感染への細胞レベルでの防御機構としてここ数年インフラマソームの関与が議論されており、本論文ではインフラマソームの構成成分のタンパク質のひとつがグラム陽性菌由来の物質を認識して先天性免疫応答を誘導することを見出したが、これが感染抑制ではなく憎悪につながることを明らかにした。インフラマソームは多種の慢性疾患の発症に関与していることが示唆されており、今後の展開が期待される。(三品先生) 本論文は炎症タンパク複合体インフラマソームの構成受容体であるNLRP6の活性化メカニズムを明らかにした研究である。インフラマソームは炎症性疾患や感染防御などに重要な役割を果たしているが、これまでNLRP6の活性化に関わる因子は不明であった。本研究ではグラム陽性菌の構成成分がNLRP6を活性化すること、またこれまで知られていなかったNLRP6とCaspase-11の相互作用がシグナル伝達に重要であることを示した。本論文では細胞学的アプローチだけでなく実験動物を用いた感染実験も行っており、疾患におけるNLRP6の役割も明らかにした価値のある研究である。(鎌田先生)

​論文内容

インフラマソームは細胞内受容体を含む複数の分子で構成されるタンパク質複合体であり、細胞内で異常代謝産物やアラーミン、病原体成分を感知する自然免疫システムである。インフラマソームが活性化するとIL-1やIL-18などの炎症性サイトカインの産生やプログラム細胞死ピロトーシスなど多様な炎症応答を惹起する。この異物認識機構は外来分子を認識することで宿主防御に働くが、一方でコレステロール結晶や尿酸結晶、アミロイドβ、ATPなどの内在分子も検知することから脳や肺、腸、関節、血管、皮膚などで不適切かつ慢性的な炎症応答を誘導することで、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳梗塞、炎症性腸炎、腫瘍形成、関節リウマチ、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、痛風といった多岐にわたる疾患の発症・増悪に関与する。NLRP6はインフラマソームを構成する細胞内受容体の1つであり腸内細菌叢の形成や腸管の恒常性維持などに関わるがその活性化機序やリガンドは不明であった。本研究ではNLRP6がグラム陽性菌の細胞壁成分であるリポタイコ酸を認識することでIL-18産生を誘導すること、またその炎症応答にタンパク質分解酵素カスパーゼ11が関与することを新たに見出した。これまでインフラマソームはIL-1産生を介して感染防御に機能すると考えられていたが、興味深いことに、NLRP6インフラマソームはグラム陽性菌感染病態を増悪させることが本研究で明らかとなった。今後、インフラマソーム阻害剤をデザインすることで抗菌剤とは異なる感染症の新規治療法の開発に繋がる可能性がある。

​受賞者コメント

インフラマソームは細胞内受容体を含む複数の分子で構成されるタンパク質複合体であり、細胞内で異常代謝産物やアラーミン、病原体成分を感知する自然免疫システムである。インフラマソームが活性化するとIL-1やIL-18などの炎症性サイトカインの産生やプログラム細胞死ピロトーシスなど多様な炎症応答を惹起する。この異物認識機構は外来分子を認識することで宿主防御に働くが、一方でコレステロール結晶や尿酸結晶、アミロイドβ、ATPなどの内在分子も検知することから脳や肺、腸、関節、血管、皮膚などで不適切かつ慢性的な炎症応答を誘導することで、アルツハイマー病、パーキンソン病、脳梗塞、炎症性腸炎、腫瘍形成、関節リウマチ、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、痛風といった多岐にわたる疾患の発症・増悪に関与する。NLRP6はインフラマソームを構成する細胞内受容体の1つであり腸内細菌叢の形成や腸管の恒常性維持などに関わるがその活性化機序やリガンドは不明であった。本研究ではNLRP6がグラム陽性菌の細胞壁成分であるリポタイコ酸を認識することでIL-18産生を誘導すること、またその炎症応答にタンパク質分解酵素カスパーゼ11が関与することを新たに見出した。これまでインフラマソームはIL-1産生を介して感染防御に機能すると考えられていたが、興味深いことに、NLRP6インフラマソームはグラム陽性菌感染病態を増悪させることが本研究で明らかとなった。今後、インフラマソーム阻害剤をデザインすることで抗菌剤とは異なる感染症の新規治療法の開発に繋がる可能性がある。

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