正田哲雄 Tetsuo Shoda, MD. PhD.

Cincinnati (Children's Hospital Medical Center)

【オハイオ州】 審査員氏名: 行川賢 先生(Associate Professor, Cincinnati Children’s Hospital Medical Center) 佐々木敦朗 先生(Associate Professor, University of Cincinnati College of Medicine; Project Professor, Keio University)

​受賞者紹介

【オハイオ 受賞論文1.】 受賞者氏名: 正田 哲雄  研究分野:Allergy and Immunology 留学期間:< 2years 論文リンク https://www.thelancet.com/journals/langas/article/PIIS2468-1253(18)30096-7/fulltext

​審査員コメント

重症アレルギー疾患である好酸球性食道炎(EoE)の新たな病型分類を示した論文であり、正田さんの今後の活躍を予期させる仕事です。(行川先生) 留学への動機が伝わってくる申請書である。留学後は、他施設の様々な研究者と連携して、重症アレルギー疾患の一つ、好酸球性食道炎の新たな病型を見事に指し示した論文。こうした連携の背景にあったであろう様々な困難を乗り越えての論文と読み取った。申請書には、平易に重要性がかかれてあり、その後の展開についても臨場感をもって言及されていた点も加点した(佐々木先生)

​論文内容

受賞者は、重症アレルギー疾患である好酸球性食道炎(EoE)の新たな病型分類の存在を示した論文を、筆頭著者として2018年7月The Lancet Gastroenterology & Hepatology誌に報告した。受賞者は、日本国内で重症アレルギー患者を診療する傍ら、好酸球性消化管疾患の病態解明・臨床的問題点の解決を目指し研究を行ってきた。本疾患は、消化管を主座とする好酸球性炎症症候群の総称であり、新生児-成人まで幅広い年齢層が罹患する。主に消化器症状を伴うが、その約10%では、生命にかかわる重大な合併症を引き起こす。治療不応例も多く、そのQOL低下は著しい。患者数は年々増加しているが、診断・治療法が確立しておらず、難病指定を受けその対策が望まれている。申請者は2016年9月に渡米し、本疾患の中で患者数の多いEoEに焦点をあて研究を開始した。EoEと共通の特徴をもつ喘息では、エンドタイプ(疾患の背後にある明確な機能的または病態生物学的機序に基づくサブタイプ分類)による治療選択が実現されつつある。受賞者は、食道生検組織の遺伝子発現によるEoEエンドタイプの同定を目的とし、多施設共同研究を行った。研究計画立案後、EoE患者由来サンプルの処理と解析を実施した。エンドタイプ同定のため、探索コホートを組織し、臨床データに頼らない遺伝子発現変動のみに基づくクラスター解析を行った。種々の解析を実施し、信頼性の高い、安定した3つの病型(EoEe1-3)を見出した。各エンドタイプはそれぞれ特徴的な独自の遺伝子発現変動を有していた(EoEe1:炎症性サイトカインの低発現、EoEe2:Th2サイトカインの高発現、EoEe3:上皮関連遺伝子の低発現)。その臨床的意義を評価するため、前方視的に測定した病理・内視鏡スコアシステムと臨床情報をエンドタイプ間で比較した。興味深いことに、各エンドタイプは組織好酸球数に明らかな差異がないにも関わらず、独自の臨床的特徴を有していた。多変量解析にて、EoEe1は内視鏡的異常所見の欠如(リスク比3.27)、EoEe2はステロイド抵抗性(リスク比2.77)、EoEe3は食道狭窄(リスク比7.98)と強い関連が認められた。また、多重対応分析による俯瞰的な臨床的特徴とエンドタイプの比較では、その関連性がよく再現され、各エンドタイプに独自の変動遺伝子の機能とよく合致した。また、臨床的な有用性と利便性をより高くするため、少数の遺伝子で各エンドタイプを予測するアルゴリズムを確立した。機械学習によるエンドタイプ識別に重要な8遺伝子の同定と、それらを用いた予測アルゴリズムは、各エンドタイプを分離し、高い診断能を示した。上記結果の一般妥当性を検証するため、独立した別のコホートで同様の解析を行った。予測アルゴリズムにて3つのエンドタイプが同定された。探索コホートと同様に、各エンドタイプは組織好酸球数に明らかな差がなく、独自の遺伝子変動、臨床的な特徴を有しておりEoEエンドタイプが再現された。 以上の研究成果は、分子生物学的なHeterogeneity(異質性)に基づく個別化医療を実現する土台として期待されており、多施設での前向き臨床研究に応用していくことを計画している。

​受賞者コメント

受賞者は、重症アレルギー疾患である好酸球性食道炎(EoE)の新たな病型分類の存在を示した論文を、筆頭著者として2018年7月The Lancet Gastroenterology & Hepatology誌に報告した。受賞者は、日本国内で重症アレルギー患者を診療する傍ら、好酸球性消化管疾患の病態解明・臨床的問題点の解決を目指し研究を行ってきた。本疾患は、消化管を主座とする好酸球性炎症症候群の総称であり、新生児-成人まで幅広い年齢層が罹患する。主に消化器症状を伴うが、その約10%では、生命にかかわる重大な合併症を引き起こす。治療不応例も多く、そのQOL低下は著しい。患者数は年々増加しているが、診断・治療法が確立しておらず、難病指定を受けその対策が望まれている。申請者は2016年9月に渡米し、本疾患の中で患者数の多いEoEに焦点をあて研究を開始した。EoEと共通の特徴をもつ喘息では、エンドタイプ(疾患の背後にある明確な機能的または病態生物学的機序に基づくサブタイプ分類)による治療選択が実現されつつある。受賞者は、食道生検組織の遺伝子発現によるEoEエンドタイプの同定を目的とし、多施設共同研究を行った。研究計画立案後、EoE患者由来サンプルの処理と解析を実施した。エンドタイプ同定のため、探索コホートを組織し、臨床データに頼らない遺伝子発現変動のみに基づくクラスター解析を行った。種々の解析を実施し、信頼性の高い、安定した3つの病型(EoEe1-3)を見出した。各エンドタイプはそれぞれ特徴的な独自の遺伝子発現変動を有していた(EoEe1:炎症性サイトカインの低発現、EoEe2:Th2サイトカインの高発現、EoEe3:上皮関連遺伝子の低発現)。その臨床的意義を評価するため、前方視的に測定した病理・内視鏡スコアシステムと臨床情報をエンドタイプ間で比較した。興味深いことに、各エンドタイプは組織好酸球数に明らかな差異がないにも関わらず、独自の臨床的特徴を有していた。多変量解析にて、EoEe1は内視鏡的異常所見の欠如(リスク比3.27)、EoEe2はステロイド抵抗性(リスク比2.77)、EoEe3は食道狭窄(リスク比7.98)と強い関連が認められた。また、多重対応分析による俯瞰的な臨床的特徴とエンドタイプの比較では、その関連性がよく再現され、各エンドタイプに独自の変動遺伝子の機能とよく合致した。また、臨床的な有用性と利便性をより高くするため、少数の遺伝子で各エンドタイプを予測するアルゴリズムを確立した。機械学習によるエンドタイプ識別に重要な8遺伝子の同定と、それらを用いた予測アルゴリズムは、各エンドタイプを分離し、高い診断能を示した。上記結果の一般妥当性を検証するため、独立した別のコホートで同様の解析を行った。予測アルゴリズムにて3つのエンドタイプが同定された。探索コホートと同様に、各エンドタイプは組織好酸球数に明らかな差がなく、独自の遺伝子変動、臨床的な特徴を有しておりEoEエンドタイプが再現された。 以上の研究成果は、分子生物学的なHeterogeneity(異質性)に基づく個別化医療を実現する土台として期待されており、多施設での前向き臨床研究に応用していくことを計画している。

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