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-Break the wall - 壁を越えてつながる研究者たち

第4回 UJA Midwest Conference開催報告

渡瀬成治(ミシガン大学)、河野龍義(インディアナ大学)

2019年10月12日土曜日、爽やかな秋晴れの空のもと、第4回となるUJA Midwest Conferenceが秋深まるミシガン大学アナーバー校セントラルキャンパスにて開催されました。後に紹介する同時開催した親子科学教室の参加者と合わせて約100名の方々にご参加いただき、大いに盛り上がりました。

UJA Midwest Conferenceは米国中西部(インディアナ州、イリノイ州、オハイオ州、ミシガン州)に留学している日本人研究者が州の壁、専門分野の壁を越えて「つながる」ことを目的とし、2016年にスタートした会合です。

 

第4回目となる今回の開催では、これまでよりさらに人と人が「つながる」ことができるようにいくつかの新しい試みを行いました。

1)佐々木 敦朗 先生によるキャリアセミナー

2)エレベータートーク形式による研究発表

3)親子科学教室の同時開催

キャリアセミナーではアメリカで研究者として成功するための貴重な情報に若手研究者たちが真剣に耳を傾け、たくさんの質問が飛びました。研究発表では22名による発表を行いました。発表者の専門分野も医学、生命科学分野に留まらず、宇宙航空工学、応用化学、ビジネス、IT分野まで多岐に亘りました。参加者のバックグラウンドも研究者のみならず、大学院生、企業や官公庁から派遣されている社会人大学院生に至るなどこれまでにない幅広いものとなりました。熱い発表が繰り広げられ、9名の若手研究者が優秀発表賞を受賞しました。研究会の後に行われた懇親会では、発表者の発表内容に興味を持った参加者と発表者との間で活発に意見交換が行われている様子が会場全体で見られ、まさに、UJA Midwest Conferenceの目的である “州の壁、専門分野の壁を越えて人と人が「つながる」”会となりました。


また科学教室はインディアナ州を中心にこれまでに数多くの科学教室を開催してきた実績のある、Eureka Science SchoolがMidwest Conferenceのまさに隣の部屋で同じ時間帯に行われ、「虹をつかもう」というテーマで多くの子供達と父兄に実験を通して科学の不思議と楽しさに触れてもらいました。光のスペクトル、水性インクを用いたペーパークロマトグラフィーを組み合わせることで、鮮やかな色彩を楽しみながら本格的な化学、物理学の不思議な世界を楽しく体験できる教室が開催されました。子供達だけでなく、大人も夢中になって実験を楽しんでいる様子が見られました。

今回の第4回 UJA Midwest Conferenceは州と専門分野の壁のみならず、仕事と家族の間に立ちはだかる大きな壁をも乗り越えた点が多くの参加者に支持され、その結果として参加者の大幅増につながったと思います。実際に参加者に行ったアンケート調査でもキャリアセミナー、講演とともに科学教室の開催は大きな反響がありました。


最後になりましたが、今回のMidwest Conferenceの成功は協賛をいただいた多くの日系企業様の厚いご支援と数多くの団体様のご協力あっての賜物です。また匿名個人寄付もありました。ここに厚く御礼申し上げます。

2020年は7月11日にシカゴ(イリノイ州)にて開催いたします。アメリカ東海岸、西海岸からも研究者が参加することになっており、ますます大きな繋がりが生まれるイベントとなると思います。多くの方の参加をお待ちしております。

主催団体:UJA, ミシガン金曜会, Eureka Science School, UC Tomorrow, INDY Tomorrow

協賛:インディアナ州日本人会(IJC), Aisin Holdings of America, Inc, 株式会社クァンタリオン、小原会計士事務所、ASG-Keio(慶應大学反分野的サイエンス会)

協力:在シカゴ日本国総領事館、 在デトロイ


ト日本国総領事館、NPO法人Cheiron Initiative

 

プログラム

1. 開会の挨拶 スポンサー紹介

2. 日本人研究者コミュニティの活動紹介

UJA • UC tomorrow • INDY tomorrow • NUJRA • ミシガン金曜会 • CHEIRON INITIATIVE (研究者の家族支援を目指す NPO 法人)


3. キャリアアドバイス特別講演

ポスドクから独立研究者 (PI) へのキャリアパス -米国で独立する道&ほんまかいな奇天烈 成功法則- 講師: 佐々木 敦朗 先生 (Associate Professor, University of Cincinnati College of Medicine 慶應義塾大学先端生命科学研究所 特任教授 広島大学大学院医系科学研究科 客員教授)

4. 研究発表

1) 矢野慧一(ミシガン大学) 「超分子相互作用を駆使した環境応答性デバイスの開拓」

2) 渡邊雄一郎(パデュー大学) 「分子構造制御に基づく有機蛍光プローブの開発」

3) 湯川将之(シンシナティ小児病院医療センター) 「T 細胞とエピゲノム」

4) Nozomu Takata (ノースウエスタン大学) 「ミニ臓器オルガノイド;試験管で網膜の発生を再現する、そして分子レベルで理解する」

5) 藤原英晃(ミシガン大学;血液腫瘍内科学) 「Double-edged Sword;造血幹細胞移植」

6) 徳丸大介(ミシガン大学) 「建設業のご紹介」

7) Hisako Masuda(インディアナ大学) 「土壌細菌によるプラスチック(ナイロン)の分解」

8) 梅崎勇次郎(シンシナティ小児病院医療センター) 「頭相反応(Cephalic phase response)によるショウジョウバエの体温調節」

9) 妹尾彬正(岡山大学・ウェイン州立大学) 「がん幹細胞は正常細胞の夢を見るか?」

10) 北本祥(ミシガン大学) 「歯磨き不足が大腸がんをまねく?~歯周病と腸疾患を結ぶ新たな口腸相関メカニズム~」

11) Takuma Sato(ミシガン大学) 「High-fidelity Simulations of Rotating Detonation Engines」

12) 真流玄武(ミシガン大学) 「人工細胞をもちいて細胞分裂期の正確な進行の仕組みを理解する」

13) 藤井祥(京都大学・ミシガン大学) 「膜形成と DNA 構造から解き明かす葉緑体分化のからくり」

14) 塩田純也(ミシガン大学) 「Hedgehog signaling は胆管障害組織の修復・再生に関与する」

15) 伊藤有輝(ミシガン大学) 「MBA とアントレプレナーシップ」

16) 田中仁啓(ノースウエスタン大学;不整脈) 「動悸にドキドキ!~心房細動発症関連因子の同定~」

17) 中村光宏(ミシガン大学) 「ヒトゲノム中の「動く遺伝子」LINE-1 の新規活性」

18) 坂下 陽彦(シンシナティ小児病院医療センター) 「哺乳動物の精子形成過程における内在性レトロウイルスの役割」

19) 大見真衣子(ミシガン大学) 「破骨細胞は増骨の司令塔?破骨細胞による新たな増骨活性制御機構の解明」

20) 狩野剛(ミシガン大学)「ルワンダが目指す ICT イノベーション・エコシステムとその課題」

21) 渡瀬成治(ミシガン大学) 「細胞が若返る仕組み」


5. 優秀発表賞発表、記念品贈呈、記念写真撮影

6. 閉会の挨拶

懇親会


最優秀受賞者名:高田望 (ノースウエスタン大学)、北本祥(ミシガン大学)

優秀賞受賞者名:渡邊雄一郎(パデュー大学)、佐藤拓磨(ミシガン大学)、湯川将之(シンシナティ小児病院医療センター)、藤井祥(京都大学・ミシガン大学)、伊藤有輝(ミシガン大学) 、中村光宏(ミシガン大学)、渡瀬成治(ミシガン大学)


Travel Award受賞者名: 坂下 陽彦、 梅崎 勇次郎, 渡邊 雄一郎 、吉本 哲也、田中 仁啓、 高田 望、片木 宏昭、 妹尾 彬正

Chair/Vice Chair: 渡瀬 成治/佐々木 敦朗、三品 裕司、河野 龍義

Co-organizer: 足立 剛也、北郷 明成、森岡 平仁、川上 聡経、早野 元詞、片木 宏昭、梅崎 勇次郎

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