コロナ禍におけるノースウェスタン大学日本人研究者の会(NUJRA)の活動と今後の展望

ノースウェスタン大学 

田中 仁啓


ノースウェスタン大学予防医学教室及び不整脈研究センターで博士研究員をしております田中と申します。2019年1月から同教室で心房細動と呼ばれる不整脈の疫学・臨床研究を中心に行っています。今回は、私の所属しているノースウェスタン日本人研究者の会(NUJRA)のコロナ禍での活動状況及び今後の展望について記載したいと思います。


NUJRAについて


まず初めに、簡単にではありますが、NUJRAに関して少し紹介させて頂きます。NUJRAはノースウェスタン大学シカゴキャンパスの日本人研究者が中心となり発足した団体です(公式ウェブサイト)。

ミレニアムパークの「Cloud Gate」

シカゴキャンパスはシカゴのダウンタウンのど真ん中に位置し、周囲には高層ビルが立ち並んでいます。その一方で、ダウンタウンから少し離れると、博物館やクラウドなどの観光名所、公園やスケートリンクがあり、仕事の合間にスケートやテニスをすることも可能で、環境としては初めて留学される方にとって非常に良いと思います。





NUJRAの特徴として、

① 医師の割合が高く、留学期間が1-2年と短いため、メンバーの入れ替わりが激しい、

② 近隣の Rush大学、イリノイ大学、シカゴ大学を巻き込んで活動している、

③ 研究者間の距離が近く、お互いに実験手技を教えあったり、共同研究をしたりする機会に恵まれている、

があります。


NUJRA は、「よく遊びよく学べ」という言葉がぴったりの団体で、定期的に勉強会や講演会を開き、その後に街に繰り出して飲みながら語る。そんな和気藹々とした団体です。


新型コロナウイルスによる生活の変化

ダウンタウンに繋がる橋が一斉に上がっている貴重な写真

全世界で猛威を振るっているCOVID-19ですが、米国はその影響が特に大きく、2021年1月には死者が40万人を超え、最近1ヶ月あまりで死者が10万人も増えており、ワクチン接種開始後も余談を許さない状況が続いています。その影響はシカゴも例外ではなく、2020年3月下旬からロックダウンとなり、街から人が消えました。


それだけならまだ良かったのですが、シカゴでは黒人差別に対するデモ隊が暴徒化した影響で、ダウンタウンでもブティックや食料品店が破壊され、略奪が横行、さらに警察の車が炎上するなど治安が非常に悪化しました。デモ隊のダウンタウンへのアクセスを制限するため、ダウンタウンへ続く橋は一斉に上げられました。また、破壊・略奪を受けた店はベニア板張りを行って店舗を補強した結果、ダウンタウンはみるも無残な姿に変わり果て、各所で警察がパトロールしていた姿は今も目に焼き付いています。


NUJRA活動報告


ロックダウン〜8月まで

「Japan XR Science Forum 2020 in Midwest」後の打ち上げ

2020年3月中旬からシカゴは、ロックダウンに突入してしまい、そこから1ヶ月はほぼ活動を行えず、事態の成り行きをただただ見守っているような状況でした。自宅勤務を命じられ、研究室に行けない人も一定数いたこと、飲み会などもレストラン・バーが閉まってできなかったので、気分転換の目的に、2020年5月8日からZoomを用いたランチョンセミナーを開始することにしました。


毎週2-3人が自身の研究や進捗状況や副題としてコロナ禍での家庭での過ごし方や旅行記などを報告し、意見交換やコラボレーションの可能性を模索するというスタイルで、約1ヶ月の間継続して行いました。毎回10人近く参加してくれ、議論も盛り上がり、友人と気兼ねなく話せたため、気分がスッキリしたことを覚えています。


6月に入ると、7月に予定されていた「Japan XR Science Forum 2020 in Midwest」という仮想現実技術VRを用いた学会の準備が始まりました。7月のJapan XRにはNUJRAからも多くの人が座長や運営に参加してくれ、日々忙しく過ごしていたことと、この学会を通じて近隣の州はもとより、米国・日本の研究者の皆さんと繋がることができたのは大きな収穫だったと思います。学会は大成功に終わり、打ち上げにはわざわざインディアナ州からも泊まりがけで参加してくれた方もいました。


その他の活動として、シカゴは日照時間が夏の間は長いので、NUJRAの幹事3人で毎週ミシガン湖の周りを朝6時ぐらいから走りに行ったり、自転車に乗ったりして、コミュニケーションを取るようにしていました。



2020年9月から現在まで

Pierでの早朝ラン Navy

夏休みが終わり、9月以降は月1回のランチョンセミナーに加え、月1回金曜日の夕方に他大学の日本人研究者にオンラインで招待講演をしてもらっています。特に、招待講演に関しては、参加者を増やしたいという思いから、Midwestの研究者に広く声をかけ、最近ではMidwestのみならず、Texas州の方々や日本の方も頻回に参加してくれるようになったことはとても大きな恵です。参加者の半数がNUJRA、残り半数は他施設からの参加と、構成もだいぶ変わってきており、多様性が出てきてとても嬉しく思っております。


夏まで行っていた、朝活に関しては、日の出が午前7時を過ぎた頃から休止していますが、毎週日曜日の朝に気の合う仲間達とテニスをしています。



最後に


シカゴは暴動や略奪なども酷かったので、人の綺麗な部分と汚い部分が浮き彫りになり、今までの生活では見ることのできなかったであろう、米国が抱える闇の深さに驚愕しました。


失った部分を見れば確かに大きいのですが、逆に新しく得たものも多かったのではないかと思います。ワクチン接種が始まり、大統領が代わりました。きっと今年は良い年になるだとうと思い、今からワクワクしています。世界中の研究者の皆さんは、非常に苦しい時期を過ごしていると思いますが、もう少しの辛抱です。一緒にこの困難を乗り越えていきましょう。



謝辞


この度、貴重な執筆の機会を頂きましたUJA理事の森岡和仁さん、COVID-19の元でも精力的にNUJRAの活動を進めてくれた共同幹事の高田望さん、冨田祐輔さんには、心より感謝を申し上げます。



著者略歴


2008年金沢大学医学部医学科卒業。2018年金沢大学医薬保健学総合研究科博士課程修了。2019年ノースウェスタン大学予防医学教室博士研究員。2021年ノースウェスタン大学不整脈研究センターリサーチフェロー。

連絡先:y.tanaka@northwestern.edu

研究室ウェブサイト:予防医学教室不整脈研究センター