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The 5th Japan-US Science Forum in Boston開催報告

UJA戦略推進部

松居 彩


2020年11月14日に「The 5th Japan-US Science Forum in Boston」をオンライン開催しました。本フォーラムは、日本学術振興会(JSPS)ワシントンオフィスとUJA、ボストン在住の日本人研究者によって運営され、今回で5回目を迎えました。UJAからは森岡、北原、川上、松居が運営メンバーとして参加しています。


日本は、高齢化や人口減少、エネルギー問題など、他国では経験したことのない困難な課題に直面しており、これらの課題に対処するための革新的な取り組みや解決策を提供できる立場にあります。本フォーラムは、日本が抱える問題や、日本が世界をリードするテーマを軸に、世界的な問題を解決するために研究者間で刺激し合える学術的な議論の場を作る目的で2016年に発足しました。以降、日本や米国から著名な研究者をお招きする基調講演と、パネルディスカッション、ポスター発表、懇親会などを通して、参加者同士の活発な議論の場、交流を深める場として、毎年秋に開催してきました。第5回となった今回は、世界的に猛威を振るうコロナウイルスの影響により、当初予定していたプログラムでの開催が困難となりました。開催自体の審議が続きましたが、運営メンバーや様々な方のご尽力により「特別会」としてZoomウェビナーとYouTubeを使ったオンラインでの開催の運びとなりました。(下に続く)

2020年度のフライヤー。ボストンと日本の印象画とともに時差(ボストンは夜、日本が朝)を表現しています。

今回はテーマを決めず、簡略化したプログラムのもと開催しましたが、JSPSワシントンオフィスの平田所長始め、在ボストン日本総領事館の大森総領事、ハーバード大学副学長のElliott教授、UJAの足立会長にご挨拶を賜り、会が始まりました。「Small talk」ではHarvard大学のHensch教授のご紹介により、東京大学の笠井清登教授とATR脳情報通信研究所の川人光男先生をお招きして、脳神経分野における研究の動向や最新の知見についてご講演いただき、また30名の研究者よって行われた「Flash talk」では、若手研究者のみならず教授や准教授の皆様にもご参加いただき、活気あるセッションを行うことができました。一般参加者によるYouTube最大同時視聴者数は75名、会全体では120名の方々にご参加いただきました。また、懇親会は「SpatialChat」という同時に複数の人が話すことのできるツールを用いて開催されましたが、50名強の参加者があり、講演者と参加者の交流、日本人研究者と外国人研究者の交流の場となり、活発な意見交換が行われていました。


SpatialChatでの懇親会風景。近い人の声が大きく、遠い人の声が小さく聞こえるため、同じチャットルームでも複数のグループでの同時会話が可能。

今回のオンライン開催を経て、参加者が現地に来る必要がないことから参加へのハードルが下がり、世界中から気軽にご参加いただける、発表していただける機会を作ることができて良かったと思います。懇親会に関しても、対面と同じようにはいかないまでも、同時会話が可能なツールを用いたことで、同じチャットルームであっても幾つかのグループに別れて会話することができ、交流の場を提供できたと思います。その一方で、講演後の質疑応答は、寄せられた質問を運営メンバーが読み、講演者が回答する形式であったため、参加者と講演者の活発な議論の場を提供するには十分ではなかったと思います。懇親会も、事前に「SpatialChat」の使用方法について説明はしていたものの、参加者全員が使いこなせているわけではなく、不便に感じた参加者もいたと思います。複数のツールを用いてオンラインで開催する難しさを目の当たりにしました。当日の運営に関しては、ボストン在住の運営メンバーが一箇所に集まり、それ以外のメンバーとは別のSNSツールを用いて常に連絡を取り合える状況にあったため、大きな問題もなく進行することが可能でした。今回のフォーラムを通して、オンライン開催の利点を生かしつつ、克服すべき点を把握することができたと思います。


次回、「The 6th Japan-US Science Forum」は、2021年10月下旬もしくは11月上旬に開催予定です(日程は未確定)。脳科学、筋・骨格のような人体構造、スポーツ科学など様々な角度から見た「ロボティクス」をキーワードに、基調講演とパネルディスカッション、ポスター発表を予定しています。開催方法はまだ未定ですが、対面開催が可能な場合でも、今回のオンライン開催を踏まえて、幅広い国や地域から多くの方々にご参加いただけるように対面開催とオンライン配信を組み合わせたハイブリッド形式も検討しています。さらに面白いフォーラムになるように企画するので、ぜひお楽しみに!!!!


著者略歴

松居 彩:2008年帝京大学理工学部卒業。2010年自治医科大学大学院医学研究科修士課程修了、修士(医科学)取得。高崎健康福祉大学薬学部助手を経て、2013年東京女子医科大学大学院医学研究科博士課程進学。日本学術振興会特別研究員DC1。2017年博士(医学)取得。同年4月よりMassachusetts General Hospital (MGH) / Harvard Medical School (HMS) 博士研究員 (先進医薬振興財団海外留学助成研究員の期間含む)。

連絡先:amatsui@mgh.harvard.edu


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