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UJA論文賞2022『若手研究者の登竜門』

更新日:2022年11月19日

UJA理事/インディアナ大学

河野 龍義

海外で活躍する若手研究者の成果を表彰するUJA論文賞が2022年も開催されます。

振り返るとアメリカ中西部のインディアナ州で、根岸英一先生(2010年ノーベル化学賞)が審査委員長を務める優秀論文賞(IT-IJC Outstanding Research Paper Award)として2015年に設立されてから7年目になります。 これまでにアメリカの14の研究者団体と共同開催することで、UJA論文賞として地域や研究分野を拡大して開催してきました。(論文賞ウェブサイトへ)


特色

この論文賞の1番の特色は「海外に住む研究者が手作りで運営してきた」ことです。毎月開催されるUJA論文賞ミーティングでは各地の研究者たちがボランティアとして多忙な本業の合間にオンラインに集います。 明るい雰囲気のミーティングの中で若手研究者を応援し、大きく発信するために限りある予算の中で様々な工夫を凝らすことでこの企画を支えてきました。


著名なアドバイザー

設立時からSUBARU(SIA)、アイシン(アイシンホールディングスオブアメリカ)などアメリカのインディアナ州に支店や工場を持つ企業が集まるインディアナ州日本人会が支援を続けてくださっています。また、シカゴ日本国領事館やデトロイト日本国領事館などの政府公館からの支援や科学技術振興機構からも支援をいただき、広報に関しては医学系研究雑誌として著名な実験医学が協力してくださっています。


現在はアドバイザリーボードとして大隅良典先生(2016年ノーベル生理学賞)をはじめ各界でご活躍されている6名の著名な先生方に活動を支援していただており、多くの分野の研究を公正に評価するため、30名を超える実績ある審査員により厳正な審査が行われます。


活躍する受賞者 多くの支援のおかげで海外に挑戦する日本人研究者の画期的な成果が発信されるようになりました。 過去の受賞者の中には受賞当時ポスドクというポジションから5年程度で教授となられた方もおられ、世界中で独立研究者として活躍されている方や、日米の企業で開発に関わる研究者も輩出されています。 さらに近年創設された若手研究者を原則7年間、最大10年間支援する日本の創発的研究支援事業に過去のUJA論文賞受賞者が高い確率で採択されているという嬉しい声も届いています。受賞をきっかけに就職の話が進んだ、授賞式で同席した方と共同研究が進んでいる、アメリカの永住権獲得に受賞が役立ったという声などもあります。


多才な運営メンバー

「在外公館長表彰」左が高田望氏。右は岡田健一総領事(2021年8月16日当時) 

昨年まで論文賞のイリノイ州Directorや授賞式の責任者として活躍されていたノースウェスタン大学の高田望さんはコロナ禍におけるコミュニティへの貢献が高く評価され、シカゴ領事館にて表彰されています。


高田さんはUJAの他にシカゴ周辺の研究者のコミュニティJapanese Researchers Crossing in Chicago (JRCC)、ノースウェスタン大学の研究者コミュニティ(NUJRA)、語学推進団体(Literacy Chicago)の3つの団体の運営を通して日本人コミュニティの発展及び日米関係の進展に貢献した点が認められ、生命科学者としては初の受賞となりました。


今年の運営メンバーも過去の開催メンバーからバトンを受け継ぎ、このUJA論文賞がより多くの若手研究者の挑戦を応援できるようにと工夫を凝らしています。がん、アレルギー、整形外科という分野に特化した賞が設立され、一般の方にも興味を持っていただけるような発表の場を用意する企画が進んでいます(産経ニュース記事)。


またTwitterのフォロワー数が5万人を超えるアラバマ大学の大須賀覚さんがDirectorに就任し、Youtuberでもあるペンシルベニア州立大学の岩月猛泰さんが加入したことにより、「研究者のTwitter攻略法」と題されたセミナーを開催するなど、広報力に磨きをかけています。

2021年12月18日 UJA論文賞部主催「研究者のTwitter攻略法」セミナー開催 講師:大須賀覚氏(アラバマ大学バーミンガム校) ファシリテーター:岩月猛泰氏(ペンシルベニア州立大学) 


過去の論文賞受賞者であるシンシナティ小児病院の正田哲雄さん、パデュー大学の田村光さんは自分も後進者の支援に協力したいと今年から運営メンバーとして参加しています。



コロナ禍の留学支援

以上のような体制でUJA論文賞2022が開催されます。コロナ禍での留学には逆風も多かったので、その中で発表された論文には一人一人の研究者の様々な想いが詰まっていることだと想像しています。どんな素晴らしい論文が選考されるのか楽しみにしていただければ幸いです。

若手研究者の登竜門として多くの方に認識されつつあるUJA論文賞への皆様の参加をお待ちしております。

UJA論文賞2022運営メンバー

安藤 啓(ミシガン大学)、石原 萌惠(UCLA)、岩月 猛泰(ペンシルベニア州立大学)、大須賀覚(アラバマ大学バーミンガム校)、太田 壮美(シカゴ大学)、大谷 隼一(日本赤十字社医療センター)、小野原 大介(エモリー大学)、神頭 志津子(UJA)、久保田 穣(ペンシルベニア大学)、河野 ゆりか(インディアナ大学)、正田 哲雄(シンシナティ小児病院)、高橋 まり子(マサチューセッツ病院)、館腰 勇輝(ノースウェスタン大学)、田村 光(パデュー大学)、苫野 哲史(東京大学/OIST)、冨田 祐介(広島市立広島市民病院)、北郷 明成(UCLA)、古屋 圭一朗(パデュー大学)、松井 理司(シンシナティ小児病院)、水田 勝利(ミネソタ大学)、森岡 和仁(UCSF)



著者略歴


河野龍義。インディアナ大学医学部リサーチアシスタントプロフェッサー。UJA理事。インディアナ州研究者組織 代表幹事。2014年より海外の研究者を対象とした優秀論文賞を設立し、運営している。JST産学官連携ジャーナルで海外に関する連載記事を執筆している(2021-2022)。https://www.jst.go.jp/tt/journal/journal_contents/category/foreign/index.html


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