バークレーを拠点とする研究者の会-BJANのご紹介-

BJAN幹事・カリフォルニア大学バークレー校

村井 祐基

BJANとは?

BJAN(Berkeley Japanese Academic Network)は、カリフォルニア州バークレーを拠点に研究活動を行う若手理工系研究者(ポスドク、訪問研究員等の短期滞在研究者)が中心となって2014年に発足しました。


(上)大学の象徴である時計台と図書館。(下)大学のランドマークの一つ、Sather Gate

バークレーはカリフォルニア州北部のいわゆる「ベイエリア」と呼ばれる場所の東岸にあり、西岸にサンフランシスコ、南岸にサンノゼを中心としたシリコンバレーやスタンフォード大学など、近隣に大都市や企業集積地を抱えています。バークレー市自体はカリフォルニア大学バークレー校(以下、UCバークレー)を中心とした比較的にこぢんまりとした街で、全米で最もリベラルな場所としてヒッピー文化発祥の地でもあることから、今でも時おり60年代から抜け出てきたような格好をした年配の方を見かけることがあります。



UCバークレーはUCLAやUCサンディエゴなど計10校を数えるカリフォルニア大学システムの発祥校であり、2018年に創立150周年を迎えました。


歴史のある大規模総合大学ということもあり、当会も2014年の発足以降参加者の幅が大きく広がってきました。現在では分野や年令を問わず当地の研究者や大学院生、企業関係者など様々なバックグラウンドを持ったみなさんにご参加いただき、交流を深めています。サウスベイやサンフランシスコから参加していただく方もおり、幅広い研究者ネットワークの形成を図るとともに、海外での研究活動におけるノウハウや、海外生活での経験を共有し、より有意義な海外生活を支援するための活動も行っています。産学を問わず、ネットワークの構築が難しい短期滞在の研究者間の人脈の構築、および、研究テーマを議論するための場の提供が目的のひとつです。


コロナ以前の様子

コロナ以前の研究交流会の様子。講演者は幹事の一人である松永光幸氏。

コロナ以前は、月に1回(通例毎月第3金曜日)UCバークレーのキャンパス内で講演会と懇親会を行っていました。通常毎月2名の講演者の方をお招きしており、当初は理工系研究者の集まりとして始まった当会も、参加者のバックグラウンドが広がったこともあり、おおむね文系理系(という枠組みの是非や私自身の研究がそうであるように境界領域の存在はさておき)お一方ずつにご発表いただいていました。


幅広い参加者層を意識して、演者のみなさんには研究の背景、社会や産業との関係、また米国で研究する意義などどちらかというとアウトリーチに近い発表をお願いするようにしています。また、米国においてさまざまな分野で活躍する日本人研究者(大学教授、企業やそのグループの中心的人物等)をお招きし、招待講演をしていただく場合もあります。



また月例の講演会・懇親会とは別に、年に3回程度、バーベキューを開催していました。近年ではロースクール、MBAとの共催となり、ご家族のみなさんも含め100名近い参加者を集める大変大規模なものに成長しました。またメーリングリストやFBグループの登録者数も数百名にのぼり、当地での生活立ち上げや地域のイベントを共有するとともに、バークレーに拠点を置く日本学術振興会サンフランシスコ研究センターや各大学の現地オフィスとも連携を取り、研究者のみなさんに有益な情報を発信できるように努めています。

コロナ禍以降の様子

2年ぶりに開催した対面懇親会

コロナ禍が始まって以来もう2年が経とうとしていますが、UJAなど他の団体のみなさんと同様、会をどう運営・存続していくべきか、様々な困難や葛藤に直面しました。ベイエリアでは全米でもかなり厳しいレベルのロックダウンが敷かれ、私的な交流どころか研究にも大きな影響が出た方がほとんどだったと思います。


その中で、Zoomを用いたオンライン交流会・懇親会を2020年6月からはじめ、対面のころほどではないにしろ、毎回一定数の参加者を集めることができました。またオンライン開催のメリットとして、日本や遠隔地からも参加したいという方がたくさんいらっしゃったことも印象的でした。


オミクロン波が一段落した2022年3月には、2年ぶりとなる対面での懇親会を企画したところ、開催直前の告知だったにも関わらず20名超の方にご参加をいただき、いかにフェイス・トゥ・フェイスでの交流を求めている方が多いかを痛感させられました。ウィズコロナの時代の活動について、皆で知恵を出し合い考えていかなければならないと思っています。



おわりに

さて、私自身は5年を過ごしたバークレーを去り、日本で新たな研究環境のもとで働くことになりました。別辞というわけではありませんが、コロナ禍が始まる前に感じていたこととして、様々な団体がゆるく広くつながっている南カリフォルニアに比べ、スタンフォードやUCSFなど比較的近距離に第一線の研究機関が林立しているにも関わらず、独立した日本人団体が別個に活動している北カリフォルニアの現状を少し残念に思い、もう少し団体間のネットワークが広がる活動をしなければいけないのではないかと思っていました。残念ながらパンデミック以降それどころではない状況になってしまいましたが、UJAなど研究者間の連携をうながす仕組みをうまく活用し、研究のさらなる発展や生活の豊かさに結び付けられるような、おおきな「うねり」(e.g., UJA Gazette第5号参照)を北カリフォルニアにも作り上げてゆく動きを期待したいと思います。ということで、ベイエリア在住のみなさん、興味があればぜひBJANに参加してください!


謝辞


この度、貴重な執筆な機会をいただきましたUJAコミュニティ連絡会部の田中仁啓さん、COVID-19下でも精力的にBJANの運営にともにあたっていただいた松永光幸さん、冨田啓輔さん、植田貴之さん、中村実来さんに心より感謝申し上げます。また、上記BJANの説明の一部は、過去の幹事のみなさんが整備し改変してきたHPの記述より借用しました。ここに併せて御礼申し上げます。


著者略歴

村井祐基。2012年東京大学教養学部卒。2017年同大学院総合文化研究科博士号取得。同年より日本学術振興会海外特別研究員(カリフォルニア大学バークレー校)。2019年より日本学術振興会特別研究員(SPD)として引き続きカリフォルニア大学バークレー校および大阪大学で勤務。2022年より国立研究開発法人情報通信機構研究員。2018年よりBJAN幹事。