世界のどこでも日本のココロを”むすび”ます

更新日:11月18日

株式会社FJC(おむすびチャンネル)

代表取締役社長 岡本広樹


自己紹介


こんにちは。私は、「おむすびチャンネル」というライブ配信型の国際交流プラットフォームを運営する株式会社FJC、代表取締役社長の岡本広樹と申します。 「おむすびチャンネル」は、日本語を学ぶ外国人や、海外在住の日本人等、日本と海外に関わりのある人材、また、特殊なスキル・知識・経験を持った人材(達人枠)が発信しているサービスであり、UJA Gazetteを読まれている皆様にウクライナ支援も含めた当社の取り組みをお伝えできればと思い、寄稿差し上げました。



自身の経験について


私はロシアやベラルーシ等、ロシア語圏の国々で4年ほど駐在していました(新卒で入った丸紅株式会社からロシア駐在で2年。退職後、在ベラルーシ日本大使館における専門調査員としてベラルーシで2年駐在)。また、ポーランド等東欧の国々にも出張で訪問していました。

写真 ロシア駐在中の写真。ロシアの友人たちとラグビーを楽しむ様子。

海外生活の中で、日本語を学ぶ外国の方々と交流する機会に恵まれました。彼らの日本への情熱や日本語能力の高さに驚きました。日本に留学したこともないのに日本語を流暢に話せる方が多く、感動したことを今でも覚えています。


同時に残念に思ったことがあります。大学や日本語学校で日本語を勉強したのに「卒業後、その日本語能力を活かす機会が非常に少ないこと」です。


日本に来て月20〜30万円の月給を得ることができるくらいの能力があるのに、現地で日本とは関係のない企業で働き、月給5万円を貰いながら生活をしている、という状況です。


「せっかくポテンシャルがあるのに本当にもったいないな」と痛感する日々でした。ましてや、日本は少子高齢化・人口減少にあり、日本の更なる発展には、外国人材、特に親日で日本語を話せる方々をより積極的に受け入れ、彼らが活躍できる社会を目指していく必要があると考えています。



新型コロナウィルスの影響

写真 ベラルーシ駐在中の写真。ベラルーシの大学で起業家たちと交流する様子。

新型コロナウィルスは、日本語を学ぶ外国の方々に大きな影響を与えました。


一つエピソードを紹介します。私が勤めていた職場のベラルーシ人の部下が、日本への留学のため退職を決めました。彼女は、日本留学を心待ちにしていました。しかし、そこで襲ったのが新型コロナウィルスです。出国数日前に水際対策により入国できないことが決まったのです。日本留学のため退職したにもかかわらず、です。そして入国できない期間が1年以上続きました。いつ入国できるか見通しもつかなかったので定職を見つけることもままならず、大変な苦労をされていました。


当然、この問題は彼女だけではなく、全世界で起きていました。今、水際対策が緩和傾向にあり、留学生の入国は少しずつ解禁されていますが、コロナが起きてから約2年、留学を希望する外国の方々が日本に入国できない期間が2年弱あり、SNSやメディアでは「他の国の言語に切り替える」、「厳しすぎる水際対策と柔軟性のなさから日本政府に失望する」という悲しい言葉も耳にしました。


これらの問題がきっかけで「どうしたら日本に入国できなくても日本語を研鑽し続けてもらえるだろうか?」という問いを考え始めました。そこで、Youtubeに目を向けると、日本語を話せる外国の方々が日本語で配信をしており、中には10万人、20万人と立派なYoutuberとして活躍されている方々もいることが分かりました。と同時に、海外の方々が持つ独特な視点や意見は、日本人にとっても面白く需要があるものだと思いました。そこで思いついたのが、「おむすびチャンネル」です。



おむすびチャンネルとは


おむすびチャンネル (https://ch-omusubi.com)」は、アフターコロナ、ウィズコロナを見据えたライブ配信型国際交流コミュニティです。


「日本語を学習する親日外国人」や「海外で活躍する日本人」や「海外経験のある日本在住の日本人」が『配信者』として自己表現をし、海外に関心を有する方々(主に日本人)が『視聴者』としてその様子を視聴し、コメント機能を通じリアルタイムで交流したり、投げ銭機能を通じ配信者を応援することができます。現在は、単なる配信だけでなく、コミュニティ機能(テキスト・写真の投稿機能、グループチャット機能等)の実装がなされ、今後も様々な機能拡充を目指しています。

図 プラットフォームの仕組み

配信者は、視聴者からの投げ銭により収益を得ることができます。日本語を勉強している外国の方々にとっては、日本人と交流する機会、日本語を研鑽する機会、収益を得る機会を同時に享受できます。


当初、配信者カテゴリーは、「日本語を学習する親日の外国人の方々」のみでしたが、ユーザー様から「海外で活躍する日本人」や「海外経験のある日本在住の日本人」、「日本文化に興味ある英語を話せる方々」も配信者になったら面白いだろうとの声を聞き、少しずつ配信者カテゴリーが増えています。最近では、海外経験がなくとも、面白いスキルや経験、知識を持つ方々(エンジニア、ミュージシャン、起業家、地方在住者等)も配信できるようになっており、配信コンテンツの幅が広がっております。



理念


おむすびチャンネルは、「誹謗中傷のない、上品で、優しい、健全なデジタルプラットフォームの運営」を目指しています。いかなる国際情勢においても、相互に配慮し、国籍、人種によるヘイトや差別のないコミュニティ文化の醸成に力を入れています。本当にごくわずかですが、日本国内においても特定の国に対してよくない感情を持っている方々がいらっしゃいます。そういった方々が、日本が好きで日本語を一生懸命学ぶ外国の方々に悪質なコメントをした場合、取り返しのつかないことになると思い、「ヘイトや差別をなくす」ことを重視しています。


また、日本語を学ぶ外国の方々のみならず、デジタルプラットフォームでの誹謗中傷により精神的に追い込まれてしまったり、命を絶つ方も出ており、非常に大きな社会問題だと思っています。



取り組み


おむすびチャンネルでは、現在、世界74カ国から配信がなされています。中には、現在戦時下となっているウクライナ在住の配信者、そして当事国となっているロシア、ベラルーシの方々もいます。このような状況にあっても、会員同士が相互に憎むことなく、むしろ自発的に困っている人に手を差し伸べる文化が根付き始めています。

写真 様々な国の出身の方が配信している様子。

既存のデジタルプラットフォームは、広告型のビジネスモデルであり、「ユーザーを集めること」や「注意を引くようなコンテンツ」が重視されています。裏を返せば、誹謗中傷やヘイトを残す悪質なユーザーを許容し、卑猥なコンテンツ、炎上を狙うコンテンツ、フェイクニュースが誘発しやすい環境となってしまっています。


写真 配信者委員会第一回会合の写真。

当社は、広告型を完全脱却し、有料会員による会費制のデジタルプラットフォームとし、優しさ、健全さを第一において運営をしています。結果として、配信者、視聴者ともに、非常に質の良い上品な会員が集まっており、相互に配慮された気持ちのいいコミュニケーションが可能になっています。


また、運営とは独立した組織として「配信者委員会」が設置されています。配信者委員会は、定期的に会合を実施し、配信者の立場・利益を守るため、運営に対し提言を行う組織です。


ウクライナ情勢をめぐる取り組み


おむすびチャンネルでは、リリース当初から、ウクライナ在住の日本語学習ウクライナ人が配信者として参加しておりました。ウクライナ情勢悪化に伴い、当該ウクライナ人配信者の安否確認、国外退去、日本への渡航支援、並びに、日本での生活面の支援を行なっています。また、ウクライナや近隣国にいる日本人配信者が、ウクライナ避難民に対する物資支援のための資金調達元として、おむすびチャンネルを活用していた例もあります。


国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ロシアによるウクライナ侵攻以降、戦闘の激化などにより国外に逃れたウクライナ避難民数は690万人(6月13日時点)を超え、また、ウクライナ国内の避難民数は700万人以上に達し、「スピードと規模において戦後の欧州で前例のない事態」と危機感が強まっています。


ポーランドやルーマニア、ハンガリー等のウクライナ隣国では、避難民に対する住居提供や日用品等の物資提供等、多角的な支援が続いております。他方で、現地では、ウクライナ侵攻の長期化により、避難生活自体が長期化しつつあり、現地ではウクライナ避難民にとって安定した収入を得る機会や仕事が不足する問題が出てきていると聞いています。


ライブ配信型プラットフォーム「おむすびチャンネル」のスキームを活かし、各国に避難するウクライナの方々に配信者として登録、配信いただき、新たな収入を得る機会を提供しております。

写真 ポーランドのウクライナ避難民施設訪問の様子。

おむすびは、スマホ一台さえあれば収入を得られます。いつどうなるかわからない避難生活においてアクセスしやすい収入源であり重宝され得ると思っています。


私自身、5月にウクライナ避難民が一番多いとされるポーランドに出張し、ウクライナ避難民施設を訪問し物資支援をしつつ、おむすびチャンネルを通じた継続収入機会の提供や現地で配信できるスペースの確保を実施してきました。


現在、ウクライナ避難民に限り、視聴者からの投げ銭による成果型の報酬に加え、配信時間による時間報酬を付与しています。時間報酬は、配信1時間あたり最大8ドルとなっており、視聴者による投げ銭が発生しない場合であっても安定的に収益を得られるようにしています。現在70名のウクライナ避難民がおむすびチャンネルを活用し収益を得ています。彼らは英語による配信をしていますので、日本の方々(視聴者)にとっては、英語のリスニング、ライティングスキルを研鑽する機会になると思います。

写真 ウクライナの方々の配信の様子。

おむすびチャンネルの今後


元々、「日本語を学習する外国人」が、コロナ禍においても日本人と交流でき、日本語能力を研鑽し、かつ収入を得られるものになればと思い開発したのですが、今や、配信者は、日本語を学ぶ外国人のみならず、「在留邦人」や「海外経験のある日本在住の日本人」までに広がっています。また、上述したウクライナ避難民への支援をきっかけに英語での配信が広がり始めています。さらに、「達人枠」として、海外経験がない方でも配信できるようになっています。つまり、配信者カテゴリーが広がった結果、配信内容も多様性があふれる状況になっています。


おむすびチャンネルは「単なるライブ配信アプリ」ではなく、「デジタル・メンバーシップ・プラットフォーム」であり、ライブ配信以外の機能もどんどん拡充し、また、コミュニティとしてさまざまな形での交流機会を創出していきたいと考えております。7月には東京で、9月にはポーランドで会員同士直接交流のできるオフラインイベントを企画しています。



最後に


20世紀及び21世紀初旬は、技術革新に伴い各国の距離は非常に縮まりましたが、新型コロナウィルスやロシアによるウクライナ侵攻による国際情勢の緊迫化により少しずつ距離が開き始めている気がしています。そのような時代背景においておむすびチャンネルが果たし得る役割は非常に大きいものと確信しており、皆様のような各界で知識や専門分野を有する方々の参画はおむすびチャンネルの価値を更に向上するものと考えております。ぜひ配信者としての参画もお待ちしております。ウクライナ情勢をはじめとして世界の変遷をマスコミやネットからしか知り得ず常に実感の薄い我々が今できることとして、常に世界とつながり続けて正しい情報を入手し把握に努めるとともに、責任を持って正しい情報伝達や情報発信することが大事になりますので、その一助となれば幸いです。



著者略歴


岡本広樹。東京外国語大学ロシア語学科卒。大学卒業後、丸紅株式会社に入社し、ロシア駐在等を経験。丸紅退職後、外務省在外公館専門調査員としてベラルーシに駐在。その後、海外ITエンジニアを活用したソフトウェア受託開発事業、ロシア語圏・日本企業間の事業連携支援に携わっている。2021年10月、株式会社FJCを創業、同社代表取締役社長に就任。