top of page

日本の大学新卒でデンマークの企業に現地就職

Neurons Inc

和木 勇人


初めまして。和木勇人と申します。私は2022年3月に筑波大学情報科学類を卒業し、同年から日本人0のデンマーク企業に現地就職しエンジニアとして働いております。日本の大学を卒業し、海外企業で働くには様々な方法があると思いますが、一般的に新卒での海外企業現地就職はハードルが高いと思われているように感じます。今回は、私のお話が今後グローバルに活躍したい学生の皆さんがキャリアパスを考える上でご参考になれば幸いと思い執筆いたしました。



海外志向は留学経験から

米国留学時に滞在していたシェアハウス内での写真。

父の影響もあり高校生の頃から国外やIT分野での事業開発に興味を持っていました。大学ではコンピュータサイエンスを専攻し、脳波を用いて感情を分析するAIの研究をしていました。加えて、エンジニア・ビジネス職でのインターン活動やフリーランス活動をしたり、また趣味で知人とニュースアプリを開発し、数万人に利用されることもありました。


その後、「世界で代表するサービスを作りたい」「ITの最先端を見たい」と思い、シリコンバレーに1年ほど交換留学をしました。現地企業でのインターンのほか、コミュニティやイベントの参加をし、さらに現地にいる知人とアプリの開発・提供もしました。これらの経験から学ぶものは多く、シリコンバレーの技術や現地でのスタートアップの盛り上がりを目にして、世界で挑戦したいという思いがさらに強くなりました。



脳科学への情熱がデンマーク企業へ


私が現在勤めるデンマーク企業Neuronsは、脳活動や視線などの生体情報をAIによって分析・計測し、消費者の広告への無意識な反応をマーケティングに活かす“ニューロマーケティング”分野でのサービスを全世界で展開しています。

この企業を志望した理由は、脳科学のAI分野で世界の最先端を走る企業だという点と、基礎研究が主流な脳科学という分野の技術の事業化に成功できている点でした。


昔から、脳科学がもたらす新しい生活、例えば「念じるだけでものを動かす」「意識をコンピュータ上にアップロードする」などのいわゆるサイエンスフィクション映画のような技術に惹かれていました。脳科学における技術や世界の動きを学んでいく中で、「100年以上研究がなされている脳科学の技術をどのように日常生活に落とし込むべきなのか」という社会実装の可能性を常に考えるようになりました。


そこで、生体情報を用いたデータサイエンスが直近の事業化成功やトレンドの鍵になると思い、その領域で最先端を走る企業を調べました。その1つがNeuronsでした。



愚直なアウトプットが採用の決め手


志望動機に加え、就職活動をするうえではある程度の計画性を持つ必要がありました。


大学時代からエンジニアとして働いていたということもあり、エンジニア職への応募に必要となる経験年数は足りていましたが、それ以外でも技術やアウトプットを発信して自分自身に興味を持ってもらう必要がありました。


まず、前線の知識や人脈を増やしたい並びに業界の自分自身の知名度をあげたいという思いもあり、脳科学に特化したインタビューメディアNeurotechJPを立ち上げました。NeurotechJPではこの業界の世界最前線で活躍するスタートアップ創業者や大学の研究者にインタビューを行い、英語と日本語で記事を公開しています。立ち上げてから約1年半が経過しますが、メンバーにも恵まれ業界大手の米国企業のCTOにインタビューする機会をいただくなど、業界である程度の成果を残すことができたと思います。

NeurotechJP webサイト

次に、志望企業の担当者にひたすら連絡をとりました。企業のCxOや採用担当者にLinkedInでDMを送るのは勿論、該当企業におけるビジネス・技術観点に関する分析資料を作りweb上で公開してみるなど、さまざまな方法で自分興味を持ってもらおうと努めました。


これにより、エンジニア職に応募していたにも関わらず、“脳科学”という業界そのものに対する知識やトレンド、ビジネス面での理解もあるということが伝わったのか、担当者から返信を頂くことが多くなりました。愚直なアウトプットが採用に繋がったのだと思います。



コロナ禍がもたらした働き方の多様化


日本の学生で、将来海外で働きたいと思っている場合、一般的には海外の大学等に留学をし、現地で就職する方法や、外資系企業の日本支社で働き始め、後に海外に転勤するという方法があると思います。どちらの方法も良いと思うのですが、私の場合は日本にいながらでも海外就職を実現できました。


その背景として、コロナ禍によりリモートワークという働き方が普及してきたという事実があるかと思います。現在世界中どこからでも勤務可能という企業が増えていますし、自国にいながらも海外の企業で働く場合、契約形態にもよりますが基本的には就労ビザを必要としません。


私の場合も、まずは日本からフルリモートで数ヶ月働き、その後会社にビザを発行してもらってデンマークに移住という過程をとりました。デンマークなどのヨーロッパ諸国は米国と比べて移民でもビザが取りやすいということもあり、現在日本にいても機会はかなりあると思います。そのような背景もあるので、国にこだわっていないのであればヨーロッパ諸国での就職はかなりおすすめです。



デンマークの労働環境

コペンハーゲンの街並み。デトックス効果抜群です。

パートタイムででの勤務期間も含めると弊社に勤務して約1年が経ちます。日本と違った労働環境の中で興味深い点があったので紹介します。


デンマークは職場環境が世界一フラットと言われており、上下関係がほとんどありません。また、議論好きな国民性のため、役職や年齢に関係なく議論や雑談ができ、すぐにメンバーと打ち解けられたのが1点目です。


2つ目は、残業したら怒られたという点です。入植当初に残業をしていると「残業は良くない。もし計画した仕事が完遂できなかったのであれば、それは計画性の問題である。」という指摘を受けました。その考え方には、デンマークには役職に応じた技術を持ち即戦力となる人材のみを雇用するという文化的背景があります。そのため、新卒であっても研修は一切なく、求められる成果にいたらなければ解雇されることも少なくありません。



さいごに


特定の分野や企業への情熱とそれに向けた十分なアウトプットがあれば、日本にいようが、新卒であろうが、海外企業へ就職することは可能だと思います。私の場合は、脳科学という基礎研究者が活躍する分野でした。その中でいかに自分が輝ける場所を見つけられるか、そしてそこに向けてアウトプットをするかが就職の決め手になったかと思います。


もし、さらに詳しく聞きたいことなどありましたら、『海外就職のすゝめ』専用質問フォーム より、気軽にお問い合わせください。



著者略歴


和木 勇人。1999年生まれ。2017年筑波大学情報科学類入学。Microsoft社(日本)やUSEN-NEXT-Group社(日本)、Btrax社(米国)などにて長期インターン経験後、2019年株式会社Feedal共同創業(解散)。同社では15000MAUを超えるニュースアプリなどを開発・提供した。同年米国サンフランシスコ州立大学に交換留学。2020年米国にてHere Labs, Inc共同創業(脱退)。2021年から株式会社Datafluctにてプロダクトマネージャーとしてフリーランスで働く。同年、脳科学インタビューメディアNeurotechJP創業、Neurons Incにソフトウェアエンジニアとして入社。


bottom of page