top of page

Doing Charity by Doing Business

更新日:2月3日

NPO法人せいぼ

山田 真人

UJA Gazette 9号でご寄稿頂いたおむすびchの繋がりから、山田さんをご紹介頂きまして、3回連載の第1回目になります。ビジネスを通して、アフリカのマラウイで給食支援ができる仕組み。これが働く会社に自然に根付いていることは、働き甲斐にも繋がっていると感じます。出会いから始まった山田さんのNPO設立ストーリー、ぜひご一読ください!(UJA編集部 土肥栄祐)
Mobell代表Tony Smithと著者(マラウイのムランジェ山にて)

今回、初めて記事を書かせて頂く山田真人と申します。現在英国通信事業者のMobellで営業として働きながら、日本からアフリカのマラウイの給食支援をするNPO法人せいぼの代表を務めています。

私は大学時代、社会に出て働くことは経済活動で、社会貢献となるチャリティ活動といったものは別の領域であり、別の時間帯で実施しなくてはいけないと考えていました。しかし、Mobellの代表Tony Smithとの出会いで、Doing Charity by Doing Businessという言葉を知り、プライベートビジネスの売り上げを用いて、社会を変えるための活動を同時に実施していく事業体に出会いました。


その後、日本で活動していく中で重要な点として見えてきたことが3つあります。それはストーリーの重要性、活動における協働、そして事業の継続性です。今回は、この3つの点について、NPO法人せいぼの協賛企業とそのストーリー、日本の学校との協働、そして事業を継続していく上での工夫についてお話をさせて頂き、活動を続けていくことで皆様と協働できることをご提案できればと思います。


ストーリー性の重要性

NPOには、ミッションステートメントという団体の目的を記載した一文があります。NPO法人せいぼの場合は、「世界の飢餓を学校給食を通して救うこと」というシンプルなものです。そして、この一文にはストーリーがあります。まずは、この一文に込められたNPO法人せいぼの持つストーリーからお話をさせて頂きます。


NPO法人せいぼ創業の要でもあるMobell代表のTony Smithは、ある時、スコットランドやイギリスのチャリティが多く活動しているマラウイを訪問しました。彼は、マラウイの貧困問題について知り、マラウイがより良い国になるためには何が必要なのか現地の高齢の女性に尋ねたそうです。その答えとして、食事や衣服などの必要性が語られると予想していましたが、その答えは「仕事!」でした。つまり、仕事や働く場があればマラウイの人々は貧困によって苦しむことがないということを意味していました。彼はその後、自分の生き方を大転換し、自分のビジネスの収益を、職業訓練を始めとしたマラウイのコミュニティ支援に充てることにしました。マラウイ人が仕事を得るためには職業訓練などの教育の機会を促進する必要があると考えたからです。その場所が、当時Beehiveと呼ばれていたキャンパスです。収益がキャンパス内の保育園のためにも還元がされるコミュニティ支援型の事業となっています。現在は、幼稚園と小学校、高等学校が連結し、Mary Queen of Peace Catholic Campusとなっており、その中には、マラウイ人にITスキル、ビジネスリーダーシップを教え、そこで学んだマラウイ人が運用をしている学校もあります。


マラウイ南部ブランタイヤにあるITセンター

しかし、2015年においてマラウイでは大洪水が起き、栄養失調による乳幼児の死亡率が上がりました。マラウイは1994年以降初等教育の無償化が進み、入学登録者数は増えていました。一方で、洪水などの影響や家庭の状況があり、学校に毎日子供を送り出さない家族もありました。そんな中で職を得るために必要な「教育」と栄養失調から子どもたちを守る「栄養価のある食事」の双方の促進ができる学校給食が、重要な支援の一つとなりました。


上記のように、乳幼児の子どもたちが学校に通い、基礎となる教育を受けることが、将来的にビジネスキャンパスなどの自分の属するコミュニティのために働くことができる未来を作る可能性もあります。こうした循環全体が可視化できることが、Tonyの考えるビジョンでもあり、Mobellの考えるチャリティの目標でもあります。


マラウイの小学校での給食提供の様子

ここまで、マラウイとイギリス企業Mobellと団体についてお話をしてきました。ここからは日本でのストーリーについて、お話をしたいと思います。このマラウイでの給食支援を、なぜ日本から実施しようとしたのでしょうか。多くの理由と人々が関わっており、この場で全てはお話ができないのですがその理由の一つは、日本で実施することがとても必要だったからだと考えています。日本では、SDGsやエシカル、フェアトレード、サステナビリティなど、様々な言葉で社会に還元されるビジネスなどが出てくるようになりました。一方で、その言葉の意味を考えて、活動を習慣的に実施する文化は、まだ定着していないのが現状だと思います。こうした日本でも消費活動を通し、チャリティをより身近な形で体現している団体もあります。


その一例として、弊団体が日本で展開する寄付型のマラウイ産コーヒー事業を紹介させて頂きたいと思います。

NPO法人せいぼは、日本で活動をしていく中で、課題を感じていました。それは、純粋にマラウイの学校給食支援のための寄付を募るというのは、地道な活動で結果を出すことが困難であったからです。給食は、子どもたちが日々口にするものです。学校の建物を建てたり、井戸を一つ設けたりなど、大型で分かりやすいプロジェクトに比べ、とてもシンプルで目を引きづらいのが正直なところでした。寄付を集める効果的な方法がないかを検討している際、マラウイ産コーヒーを輸入している企業様について、知りました。それがアタカ通商株式会社様でした。


Warm Hearts Coffee Clubのビジネスモデル

アタカ通商様は、1980年の創業以来、市場開拓のためにも様々な種類の希少価値の高い生豆の扱いを増やしてきました。そして、マラウイもその中の一つとして、「マラウイ産コーヒー」という販売開始時は日本国内で珍しかった商品を売り出し、日本市場での希少価値の高いコーヒーの消費拡大を試みていました。こうした市場戦略を取り事業を拡大されていく中で、アタカ通商の社長である荒木様は、さらに長期的にコーヒー市場の発展を支えるために、農園の支援、さらにはその国の支援を実施するための社会的価値を生み出すことを志していました。そんな時、荒木社長は、私たちNPO法人せいぼと出会い、学校給食支援という形で産地への還元をする道を選んで下さいました。その結果、生豆の提供をして頂くパートナーとして、現在も共に活動をさせて頂いております。


現在、アタカ通商様のご支援、Mobellの事業支援によって、NPO法人せいぼは、コーヒー販売のブランドとしてWarm Hearts Coffee Clubを運営し、売り上げの100%をマラウイに送金することができています。日本ではこの仕組みの中に、学校という教育現場に入って頂き、産地であるマラウイについての学習、社会課題の研究を経て、実際にコーヒーを販売、寄付をすることで、現地と繋がる具体的な探究学習を実施しています。こうしたMobell、アタカ通商様のストーリー、思いが繋がることで、現在それが日本における学校などでの活動に繋がっています。これが企業、NPO、そして学校現場の相互の交わり、協働を生んでいます。


活動における協働

売り上げがマラウイの給食支援となるWarm Hearts Coffee Clubのマラウイ産コーヒー

ここまで、企業のストーリーが繋がることで、どんな協働が生まれるかについて、見てきました。次に、そのストーリーの枠組みの中で実際に活動する時に必要な協働の広がりを見ていきたいと思います。その重要なパートナーが、このビジネスを教育という付加価値に転換できる学校という場所です。


最初のきっかけをくれたのは、横浜市の私立学校であるサレジオ学院様です。課外活動のグループで、2020年9月、フェアトレード商品を販売してみたいという希望がありました。しかし、学校での外部団体との協働による物品販売、商品の扱いには前例が少なく、課題がありました。しかし、NPO法人せいぼのビジネスモデルを見て、担当の先生からお電話を頂いたことから、コーヒーの大口提供、学校での代理販売を通した探究学習が始まります。


サレジオ学院での活動の様子

この学習の利点の一つは、活動の持つ透明性です。学校が販売した際に出た寄付額は、現地で活動する7人のスタッフの給食支援現場に送られます。現地では、北部の小学校、南部の幼稚園で、約17,000人の子どもたちが給食を食べることができています。この際にかかる1食分の費用は、約15円です。学校が独自に創案した販売方法やブランディングで、この15円の価値を伝え、販売した後に、生徒がオンラインで現地の人との交流を行うなどの学習をしている学校もあります。教育現場に対してのこうしたアウトプットは、マラウイという遠い国に対する支援を、日本で身近に感じることへの第一歩となり、国際課題にさらに親近感を持って頂く機会になります。日本で活動するNPOとして、学校との協働はとても重要な役割を持っています。


事業の継続性

以上において、日本で遠いマラウイへの支援を生かしていく方法として、教育という価値に活動を転換して頂ける学校との協働をご紹介しました。こうした教育に対しても言えることですが、その活動に厚みを持たせるのは、継続性に他ならないと思います。マラウイでは、様々な理由で学校の建設支援が途中で終わってしまったり、井戸の支援後もその機能が現地で止まってしまったりなど、継続性が担保されないことがあります。

しかし、学校給食は日々の食事に関係することで、止まってしまうことは大きな悪影響を持ってしまいます。NPO法人せいぼの活動の中で、課題がある中でもその活動に継続性を持たせるための工夫について、いくつか例をお伝えしたいと思います。


コロナウイルスによる学校閉鎖中、緊急支援物資を受け取る子どもたち

例えば、2020年~2021年においては、コロナウイルスの影響により、政府から学校の閉鎖が強制され、その期間は給食を提供できませんでした。その結果、学校給食を頼りに生活をしていた家庭は、食糧難に陥る可能性がありました。よって、現地スタッフは家庭訪問によって給食支援を続けました。

また、2022年12月は南部のCBCC(共同体が有志で行っている子供センター)でボランティアで地域の子どもたちを支えてきた保育士などのスタッフを活気づけるために、コンペを開き、運営方法や活動の質を評価し、インセンティブを与えました。


給食支援は、日々の簡素な活動だからこそ、継続のためには様々な角度からの働きかけが必要です。その様子を日本の皆さんに知って頂くことで、より継続性のある活動であることを告知するとともに、ご支援を頂けるきっかけを作れればと考えています。


今後の活動と協働のご提案


上記のように、現在NPO法人せいぼは、企業の独自のストーリーを結び付け、マラウイの教育、そして日本の教育にも還元できる協働を生み出し、それらが現地の継続性と透明性のある支援を生み出すという仕組みを目指しています。そして、それは最終的に私がこの活動に関わるきっかけになったTonyの考えるマラウイの未来、そして日本にチャリティ文化が根付くきっかけになっていくと考えています。


これから、さらに学校関係の教育現場との協働、そして現地の活動を具体的に届けることができるという強みを生かして、企業様とも連帯を強めていければと考えています。そして、今回具体的にはお話ができなかったですが、私たちが現地で感じている子供たちの姿と、SDGsなどで測られるマクロな支援の統計には、ずれを覚えることもあります。その際に、さらに具体的な現地の情報を伝えるための方法を、研究者の皆様とも協働して考えていければと思います。今回の記事が、皆様に少しでも共感を持って頂け、そして何かしらの形で協働させて頂ける機会を生み出し、新たな事業のストーリーが生まれれば幸いです。


著者近影

著者略歴

山田 真人

東京都北区赤羽出身。英国通信会社のMobellの社員。日本のセールス、マーケティング担当。 東アフリカのマラウイの給食支援を実施する、NPO法人せいぼ理事長。 マラウイコーヒーを通して、現地の給食支援を実施するWarm Hearts Coffee Clubの運営責任者。全国で10校以上の学校法人と提携し、教育事業の一環としても事業を展開し、オンラインではマラウイ、英国などを繋ぎソーシャルビジネスを学べるインターンシップも実施している。2022年12月、公益財団法人社会貢献支援財団より、社会貢献賞を受賞。



Comments


bottom of page