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海外帯同成功の秘訣とは

更新日:5月7日

小島里穂

Ready baby abroad代表

自分の思いとは裏腹にご家族の海外留学に帯同されたものの、予想外に充実した海外留学と新しい挑戦の機会を得られた小島さんからのご寄稿です。点と点がご縁を通して線になる、そんなストーリーが満載です!ぜひご一読ください!(UJA編集部 土肥栄祐)

帯同妻が事業を立ち上げた


はじめまして、海外の日本人女性を応援する『Ready baby abroad』を立ち上げた小島里穂と申します。主に海外に住む日本人妊婦さん(海外赴任者や留学者またはそのパートナー、国際結婚の方)に両親学級の機会を提供しています。

海外在住者をイメージしたReady baby abroadのアイコン

子供を持つ場合は、人生の時間の大半を子育てに捧げることになり、悩みや不安も多いものです。また、異国で暮らす事は楽しい半面、とても労力のいることです。私は留学帯同中に、言葉や文化の壁がある中で妊娠・子育てを経験しました。その経験を活かし、多くの海外で暮らす女性が不安なく出産を迎えてほしいと考えています。また、小さな子どもを持つママ達が余裕と自信を持って子育てを楽しめるようにサポートしたいと切に思い、Ready baby abroadを立ち上げました。今後は両親学級に加えて、離乳食、子育て全般まで範囲を広げられるよう検討しています。


この記事では、帯同した主婦が『海外の日本人女性に対する両親学級』という事業を始めるに至った経緯をご紹介します。夫の研究留学という夢に付き添ったことで一時は私自身のアイデンティティを失いましたが、自分の人生に新しい意義を見出すことができました。帯同予定・帯同中の方の参考になれば幸いです。



夫の夢のために離婚危機


2018年 主人の研究留学に帯同するため、私は失業しました。 当時勤務していた小さい会社に休業制度はありません。結婚相手の条件に「結婚後も仕事を続けることを許してくれる、女性の仕事に理解がある」を第一に掲げていた私は、結婚後も出産後も、総合病院、薬局と、ずっと薬剤師として誇りを持って働いていました。 必死の保活(保育園に子供を入れるための親の活動)で娘を保育園にねじ込み、両親の反対を押し切り復職。ワンオペで毎日ギリギリの状態でした。当然主人には早く帰って手伝って欲しいと伝えましたが、結果的には、ずっと1人で頑張っていました。そして突然『アメリカに行きたい』と言われたのです。 2歳半の娘は日本語もおぼつかず、2年の留学では帰国子女にはなれない。帰国後を考えると、まだ小さな子供を抱えた私に再就職先はないでしょう。さらに留学中は研究室から出る僅かな給料または無給となり、貯金を切り崩して生活するほかありません。連日激しい夫婦喧嘩を繰り広げ、私の心は離婚寸前にまで怒り一色でした。結局、戦い疲れた私が折れて、家族での渡米を受け入れました。主人に対する怒りは燻ったまま…。 海外を目指す方は、日頃から配偶者を大切にすることを強くおすすめします!


娘と1日中(8時間も!)公園で遊んで過ごたシカゴの楽しい夏

意外に楽しい海外生活

同年夏、離職して自分の存在意義を失った気持ちを抱えながらも、イリノイ州シカゴでの新しい生活が始まりました。冬は -30℃にもなるほど極寒ですが、夏はカラッと晴れ渡り、空と湖が綺麗でとても過ごしやすい街です。子供も大人もみんな夏を思い切り楽しんで、街中に笑顔と楽しそうな声が溢れていました。家族関係のこじれや仕事のストレスがなくなった私は、自分でも意外でしたが、思い切り羽を広げてシカゴの夏を謳歌していました。

娘を保育園に預けている日はESL(English as Second Language)で英語の勉強を楽しみました。


友達、家族と毎日のようにバーベキューを楽しんだ夏の夕方

娘と過ごす日は、公園や室内遊び場で一日中遊びました。自分の時間も、娘と過ごす時間も両方とも充実していました。シカゴ在住の先輩ママや、主人の留学仲間のご家族にも恵まれて、まるで第2の青春の様に楽しい日々でした。



仕事の誘いが!

娘が3歳になると育児はかなり楽になり、時間的にも精神的にも余裕が出てきました。そんな時、ノースウエスタン大学の知人の研究室でテクニシャンとして働かないかと声がかかりました。大学院に進むと決めた時には父に反対されたけど、進学を決意して良かった!


私のVISAステータスは、企業の海外赴任帯同の配偶者とは異なり J-2 VISAなので、米国移民局(USCIS) に就労許可申請書(I-765) を提出して許可を得る必要があります。私は研究職なので特定の能力を持つ専門家として許可されました。まさか研究室でテクニシャンとして、ましてやアメリカで働けるなんて、留学前には想像もしていなかった意外な出来事でした。



両親学級開催のきっかけはケーキ教室


就労許可申請が通るまで時間を持て余していた折、友人に誘われ参加したケーキ教室で意外な出会いが待っていました。『海外でケーキ教室』=駐在妻の優雅なお稽古あるある…との偏見から避けていたものの、友人に推されて通い出したら大ハマリ。


そんなある日のレッスン後、駐在者の奥さんから妊娠したと相談がありました。病院では通訳がつくものの英語での説明は不安な上、初産なのでわからないことだらけだと言うのです。産科に詳しい人を紹介してほしい、他に妊婦さんで友達になれそうな人を知りたい、との相談でした。医療者としても、先輩ママ・友人としても、なんとかしてあげたいと使命を感じました。


日本でのことを思い返してみると、私も自治体の両親学級や病院の講義に参加して、必死にメモをとった記憶があります。調べてみると、アメリカでの両親学級は講義内容が専門的すぎたり、コースが細分化されており全て受講すると高額になるなど、日本のそれとは性質が大きく異なることがわかりました。またアメリカの短い入院期間では指導時間も少なく、文化の違いから授乳や沐浴(赤ちゃんの入浴)などに対する考えも全く違うことがわかりました。


その妊婦となった友人に聞くと、医療用語が多い英語での講義は理解できないし、両親学級も受けられない、と悲しそうな表情でした。…だったら、経験のある私が両親学級を開いてあげればいいのではないか!?当然専門的知識が必要ですから、知り合いの助産師さんに声をかけ、妊婦さん向けの講義を依頼しました。妊娠中の友人達は大喜び。これをきっかけに、同じ状況の妊婦さんがいるかもしれないと、受講希望者を募りました。


ちなみに協力してくれた助産師さんは、日米両国で妊娠・出産・育児の経験がある上に、シカゴでも産科病棟で退院時サポートや、アジア人の授乳訪問指導の活動もされていて、まさにこの両親学級にぴったりな方です。今後UJA Gazzeteでその貴重な経験が披露される機会があることを願っています!



予想外、忙しいが充実したアメリカ生活


シカゴの自宅マンションで開催した両親学級の様子

こうして悠々自適に羽を伸ばして始まったアメリカ生活が、一転、研究室での技術職、初めて開催する両親学級、他にも引き継いだ領事館での絵本読み聞かせ会、趣味も実益も兼ねたESL、娘と遊び尽くす!と、忙しくも充実したものに変わりました。


研究はもともと好きでしたし、上司・同僚にも恵まれたため仕事は楽しいものでした。嬉しいことに両親学級も好評でした。郊外で噂を聞きつけたご夫婦がわざわざ車で通ってくれたり、不安を感じていた妊婦さんから感謝を伝えられると、医療者として誇らしい気持ちになりました。受講者さんの産後も相談と交流を継続して受けつけましたが、、受講したパパ達が両親学級で習得した沐浴を実践している様子を聞く度に、新米パパへ育児のきっかけを提供できたことを嬉しく思いました。受講者同士が子育て情報を共有にも繋がり、海外育児の悩みを少しでも解消する手伝いができたことに安堵しました。



帰国後の生活


予定通り2年間の海外生活を終え、妊娠後期の大きなお腹でオリンピックが延期になった日本に帰国。第2子を出産後に、運良く見つかったパート勤務で復職を果たしました。生活が落ち着いてくると密かに思い描いていたオンラインでの両親学級再開に対するモチベーションが湧いてきました。アメリカで協力してくれた助産師さんに連絡をとると、なんと日本で第4子(!)妊娠中でしたが、今回も快く引き受けてくれました。


オンライン両親学級用の教材動画撮影中!

こうして私は両親学級の再開に乗り出しましたが、初めての動画編集、初めての広報、またも初めての経験で一筋縄ではいかないことばかりでした。しかし全てのことが初めてというのは、楽しいことでもあります。全てを自分で作り出せるのです。


仕事と相変わらずのワンオペ育児に加え、初めてづくしの事業を立ち上げています。睡眠時間2時間で出勤し、親子自転車を乗り回して習い事の送迎をこなし、15時にキッチンで立ちながらカップラーメンを昼食にする…なんて日が続くことも。でもアドレナリンが大放出されているのか、頑張れちゃうのです。歳をとったから体の疲れは取れないけれど。とっても楽しく生き生きとしているのが自分でもわかります。人生の楽しさを娘に熱弁している自分にハッとしたことがあります。マイナスしかないと思っていた研究留学帯同が、私の人生に新しい価値をもたらしてくれたことに気づいたのです。



帯同成功のコツは…


いまこうして執筆の機会をいただき、主人の研究留学を聞かされてからの日々を初めて思い返してみました。どうしてあの離婚寸前の絶望的な状況から、『人生って楽しいよ!』と娘に熱弁する私に変われたのか。周りの人々のおかげはもちろん、シカゴの自由な空気のもと、本来の自分に気づくことができたのかもしれません。


大変だった海外生活も、いまとなっては家族全員にとって宝物のような大切な思い出ばかり

考えたり悩んだりする隙もなく、何でも思いつくままに手を挙げ、主人の仲間の集まりに、奥様陣が参加しない日でも私はなぜか顔を出す。そこで聞かれてもいない自分の生い立ちや経歴をべらべらと話していたからこそ、ポストが空いた時にこの研究経験がある暇そうな私に声をかけてくれたのでしょう。食わず嫌いだったケーキ教室にも参加してみたからこそ、そこで出会った友人のために両親学級を開くことを思いついたのでしょう。一見無関係なことが、実はすべて人生を充実させることに繋がっていました。


もちろんすべてが順調だったわけではなく、失敗もたくさんありました。ファーマシーテクニシャンの勉強は挫折。ESLではみんなの挙手が早すぎて波に乗り切れない。英語力が十分ではないため懐を割って話せる友人はできない。両親学級がうまくいっているときにコロナが上陸して中断。再就職の際には仲介会社からブランクがあると散々嫌味を言われる。うまくいった分だけうまくいかなかったものもありますが、異国生活で多くの壁を乗り越えてタフになったと感じています。


海外赴任、留学、それが配偶者の意にそぐわない場合もあります。そのような状況でも、必死に活動していると思わぬものが今後に活きて来てくるかもしれません。または、ゆっくりと過ごして心を解放するだけでも良いのです。日本で忙殺されていた本来の自分を取り戻すことができるかもしれません。


もしも海外で、妊娠・出産・育児に不安が生じた時は、私を思い出してもらえると嬉しいです。Ready baby abroadが開催する両親学級では、実際の動画や写真を豊富に用いて日本語でわかりやすく生解説します!海外での妊娠・出産・子育て経験者だからこその目線で、産後すぐに使える日本風の赤ちゃん・ママのお世話の方法を伝授します。受講者同士の交流の場、産後の相談サービスも設けています。海外生活での不安を取り除き、安心して育児を楽しむ一助になれたら幸いです。


すべての海外生活をする家族にとって、海外生活が幸せでありますように!


*注釈:主人の名誉のために…帰国後も話し合いを重ね、今では家事育児を手伝ってくれています。今度は私の夢をサポートしてくれる番だと願っています!

著者略歴 小島里穂

昭和大学大学院薬学研究科博士前期課程卒業後、総合病院、調剤薬局などで薬剤師として勤務。夫の研究留学帯同中にノースウェスタン大学でパートタイマーテクニシャンとして勤務の傍ら、自宅にて両親学級を開催。帰国後にReady baby abroad を立ち上げ、海外在住日本人妊婦に向けて両親学級のオンラインサービスを提供している。


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