【COVID-19クライシス#24】大澤(秋山)友紀子(フランス・フランス国立科学研究センター)

更新日:2月15日

執筆者:大澤(秋山)友紀子

執筆日:2021年2月3日

国 名:フランス

所 属:フランス国立科学研究センター(博士研究員・JSPS海外特別研究員)

トピック:研究室運営、海外での生活、雇用状態

doi: 10.34536/covid19-026


 2度のロックダウンや数ヶ月におよぶ夜間外出制限など、フランスではヨーロッパの中でも厳しい感染予防措置がとられた。パンデミック以前はマスクを着けるだけで避けられたり、”ニンジャ”や”コロナ”と言われたりしたこともあったが、フランス政府からアベノマスクならぬ"マクロンノマスク"が支給され、現在はマスクを着けないと罰金135ユーロ(約17000円)!!と刻々と変化する状況を肌で感じている。パンデミックの影響は研究においても大きな打撃を与え、短期間で結果を出さなければならないポスドクの身としてはとても辛い状況が続いている。


 2020年3月の1回目のロックダウンではラボが完全に閉鎖した。幸い自分専用の卓上実験機を構築していたため、一式自宅に持って帰り実験を行った(大電流を流すこともあったが幸いブレーカーは落ちなかった…)。

 段階的に外出制限が解除されるも10月に2回目のロックダウン。今回は申請をすることで入館が可能であり、ボスやエンジニアの方とハードウェアについて直接議論する必要があったため、私は基本的にラボ内で研究を行なった。

 このようにロックダウン中もできるだけ研究を計画通り遂行するよう努めたが、発注材料の遅れや議論の機会の減少などが進捗を遅らせたのは事実である。


 ラボでは、室内でのマスク着用、1部屋1人まで、ランチは1席ずつ間隔を空けて、など新しい規則が加わった。また短期インターン生等の受け入れはキャンセルされたようで、特に研究所全体でアジア人が減ったように思う。ロックダウン以降テレワークが推奨されているが、私のように多くの同僚は実験のためラボに通っている。数ヶ月ぶりのコーヒータイム、研究の進捗や日常の不安などをラボメイトと共有でき、研究生活においてこの時間は欠かせないことを改めて実感した。


 現在は18時以降夜間外出禁止という措置がとられ、あともうひと実験、というところで帰宅しなくてはならない。夕暮れ前、途中まで一緒に帰る同僚に「また明日ね!」と別れて帰路につく日々は、小学生の放課後を思い起こさせる。当然ながら放課後遊んでいる場合ではないので自宅で論文執筆に勤しむのだが、このような制限が研究の進捗を妨げていることは否めない。


 さて、以上に述べたようなフランスの感染症拡大防止策と比較して、日本の対策について思うことがある。よく「日本はフランスと違って罰金も政府の強制力もないから羨ましい」と言われるが、避けなければならない「不必要な外出」の定義が曖昧なために、個人のちょっとした行動が「軽率な行動」として取り上げられ、他人をすぐに白い目で見るような空気感が感じられる。

 一方フランスでは、強制的に生活が制限され国民の不満は大きいが、道沿いに医者の写真を展示したり、バルコニーから医療従事者に向けて拍手したり、コロナ禍で頑張ってる人がいるから私たちも頑張ろう、というような互いに励まし合う姿勢が感じられ、日本の重苦しい空気感のほうが罰金を取られるより生きづらいのではないかと思ってしまう。


 本稿を執筆している現在、フランスでは3回目のロックダウンが懸念されている。

 一刻も早い終息を願うとともに、遂行する研究が社会を明るくする要素技術の一つとなるよう、これからも精進していきたい。


プロフィール

2019年3月、慶應義塾大学大学院にて博士取得後、同年4月よりフランス国立科学研究センターにて研究を開始。日本企業とドイツ、フランスの三ヶ国連携の中心となり、熱技術を応用したヒューマノイドロボット外装の開発を行なっている。

https://yukikosawakiyama.info/

メールアドレス:yukiko.akiyama@lirmm.fr


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