英語の上達
執筆者:
井上 尊生
留学先:
Department of Cell Biology, The Johns Hopkins University School of Medicine
留学の大きな目標の一つに英語の上達があります。英語は研究の世界の共通語なので、これは米国への留学に限ったことではないでしょう。論文を読むときや書くとき、奨学金の申請、国際学会での発表、研究員間のコミュニケーションに英語は必須です。もし英語が上手であれば、これらすべての機会においてアドバンテージがあるといって、過言ではありません。では、どのようにしたら英語が上達するでしょうか。もちろん人それぞれの方法がありますが、ここでは私が振り返ってみて、非常に役に立ったなと思う経験5点を共有したいと思います。 1. アニメ ポスドクの時に研究室からに家に帰ってテレビをつけると、Cartoon Channelという番組内で、日本のアニメ「犬夜叉」を放送してました。このアニメは日本にいるときは知らなかったのですがちょっとみてみたらとてもおもしろい。そこで、その時間(深夜です。夕方6時とかではありませんのであしからず)に帰って犬夜叉を毎日みるようになりました。セリフは英語に吹き替えてあるので、日常会話でどのような英語が使われるのか、ストーリを楽しみながら効率よく吸収できたと思います。ただしアニメですので、アニメ内だけで使われる特殊な表現は研究室で使わないように気をつけましょう。 印象に残っている言葉:Reincarnation 2. 友人 とても幸運なことに、仲の良いアメリカ人の友人が留学中にできました。一人はローテーション学生で、もう一人はその友人です。3人でほぼ毎週末、夕食を一緒に食べて映画をみました。旅行にもいったりしました。研究だけでなく、政治や経済、また日本と米国の文化の違いなど様々なことについても話し合いました。そのときに私のおかしな発音をなおしてもらったり、また奨学金の申請書を添削してもらったり、さらにジョブトークの時は模擬発表を聞いてもらってアドバイスももらいました。彼らは今でも連絡を取り合う仲の良い友人です。やはり英語を使う機会が多かったことは今考えると英語の上達に大きく貢献したと思います。 印象に残っている言葉:Dude! 3. ラップ 1のアニメにつづいてちょっと恥ずかしい話ですが、一時期ラップ歌手のエミネムが好きでした。彼のラップを真似て自分でも歌う(というよりはラップですので、ほぼしゃべる感じですが、)練習をしてました。ただし、放送禁止用語もたくさんあるので気をつけましょう。いつかエミネムがこの投稿を読んで、サインアルバムでも送ってくれることを密かに期待してます。Black Eyed Peasのラップ歌詞が入る曲もおすすめです。 印象に残っている言葉:Yo! 4. セミナー 英語でのセミナーを聞いてるときに、おおこの表現は使える、と思ったものをよくノートに書き留めてました。単語や慣用句などを含めて全部で何百と書き留めましたが、自分のセミナー発表の前にはこれらを見返してます。そのおかげか同じ表現がすんなりと発表中にでてきて助かったりします。またいろんな方のセミナーを聞くことでプレゼンの良し悪しもわかってきました。 印象に残っている表現:I’m pretty sure, but not absolutely certain. (質問に答える形で) 5. ラジオ 通勤の車の中でラジオを聞いてます。NPRというチャンネルで世界やローカルのニュースをストーリー仕立てで放送します。ストーリー仕立てというのは、例えば効果音や気の利いた音楽が流れたり、インタビューが挿入されたりなどです。さらに毎日異なった特集もあります。例えば旬の食材に関したもの、脳の不思議な働きを解明した研究やはたまた天体や社会科学の最先端などなどです。聴きやすい標準英語ですし、楽しくニュースが聞けます。また道路の混雑状況も10分おきくらいに放送されますので、とても有用です。ところでラジオのCMが面白いです。例えばどこぞのお店でセールがあるよといったCMの最後には、すんごい早口でそのセールの細かい条件をまくしたてます。 印象に残っている表現:Buy one get one free. (非常にゆっくりした口調で。そして、、、)Restrictions apply. See store for details. (かなりの早口で) 2014/09/29
編集者より
執筆者紹介:
井上さんとは、2013年3月、ワシントンDC日本学術振興会主催の会でお会いしました。全米に拡がる日本人コミュニティーの幾つかが集まった会で、UJA結成のきっかけとなりました。井上さんは、2003年から2008年の間、スタンフォード大でポスドク修業をされ、2008年に全米トップランクのジョンホプキンス大医学部でテニュアトラックの助教綬のポジションを獲得されました。研究成果をはじめ様々な業績が認められ、2014年に准教授へと昇進されております。お会いしたときには、その豊かなお髭と落ち着いた物腰から、かなり年輩なのかなと遠目に思いました。しかし、第一印象は見事に外れて、お話ししてみると気さくに、何でもお答えしてくださる、ラボメンバー、サイエンス、そしてお子様を愛される非常に親しみやすい井上さんでした。ご自身の体験を役立てて欲しいと、2014年9月の日本学術振興会海外フェローの会では、ジョブトークに関する秘訣を講演されました。そうした秘訣には、私自身もっと早く知っておきたかったこと等、多々ありました。次のご寄稿がいまより楽しみです。井上さん、有り難うございます!(佐々木敦朗) 井上さんのラボについては、以下のウェブからご覧になれます。 http://pages.jh.edu/~inouelab/home.html
編集後記:
井上さんは現在もアメリカでPIとしてラボの運営をしていて、毎日が英語の環境で研究生活を過ごしています。「英語の上達方法」は海外で研究生活を始めるとほとんどすべての日本人が興味のある話題だと思います。私は特に日常会話が苦手で、はじめのうちは特に電話で銀行関連の口座の質問をするときやインターネットの接続に関する質問をした時は冷や汗をかいたのを覚えています。個人的にもテレビ番組は実践的な英会話を学ぶのにうってつけだと思います。私は朝はGood Morning America(嫁さんがキャスターのJoshが好きで毎日これでした)、帰ってきてからはよくThe Big Bang Theoryの再放送を見ていましたのを思い出しました。あと日本でもiTunesのPodCastなどを聞くとほとんど海外で生活しているのと同じように英語に触れることができると思いますので、ぜひ試してみてください!
編集者:
Atsuo Sasaki
英語の上達
執筆者:
井上 尊生
留学先:
Department of Cell Biology, The Johns Hopkins University School of Medicine
留学の大きな目標の一つに英語の上達があります。英語は研究の世界の共通語なので、これは米国への留学に限ったことではないでしょう。論文を読むときや書くとき、奨学金の申請、国際学会での発表、研究員間のコミュニケーションに英語は必須です。もし英語が上手であれば、これらすべての機会においてアドバンテージがあるといって、過言ではありません。では、どのようにしたら英語が上達するでしょうか。もちろん人それぞれの方法がありますが、ここでは私が振り返ってみて、非常に役に立ったなと思う経験5点を共有したいと思います。 1. アニメ ポスドクの時に研究室からに家に帰ってテレビをつけると、Cartoon Channelという番組内で、日本のアニメ「犬夜叉」を放送してました。このアニメは日本にいるときは知らなかったのですがちょっとみてみたらとてもおもしろい。そこで、その時間(深夜です。夕方6時とかではありませんのであしからず)に帰って犬夜叉を毎日みるようになりました。セリフは英語に吹き替えてあるので、日常会話でどのような英語が使われるのか、ストーリを楽しみながら効率よく吸収できたと思います。ただしアニメですので、アニメ内だけで使われる特殊な表現は研究室で使わないように気をつけましょう。 印象に残っている言葉:Reincarnation 2. 友人 とても幸運なことに、仲の良いアメリカ人の友人が留学中にできました。一人はローテーション学生で、もう一人はその友人です。3人でほぼ毎週末、夕食を一緒に食べて映画をみました。旅行にもいったりしました。研究だけでなく、政治や経済、また日本と米国の文化の違いなど様々なことについても話し合いました。そのときに私のおかしな発音をなおしてもらったり、また奨学金の申請書を添削してもらったり、さらにジョブトークの時は模擬発表を聞いてもらってアドバイスももらいました。彼らは今でも連絡を取り合う仲の良い友人です。やはり英語を使う機会が多かったことは今考えると英語の上達に大きく貢献したと思います。 印象に残っている言葉:Dude! 3. ラップ 1のアニメにつづいてちょっと恥ずかしい話ですが、一時期ラップ歌手のエミネムが好きでした。彼のラップを真似て自分でも歌う(というよりはラップですので、ほぼしゃべる感じですが、)練習をしてました。ただし、放送禁止用語もたくさんあるので気をつけましょう。いつかエミネムがこの投稿を読んで、サインアルバムでも送ってくれることを密かに期待してます。Black Eyed Peasのラップ歌詞が入る曲もおすすめです。 印象に残っている言葉:Yo! 4. セミナー 英語でのセミナーを聞いてるときに、おおこの表現は使える、と思ったものをよくノートに書き留めてました。単語や慣用句などを含めて全部で何百と書き留めましたが、自分のセミナー発表の前にはこれらを見返してます。そのおかげか同じ表現がすんなりと発表中にでてきて助かったりします。またいろんな方のセミナーを聞くことでプレゼンの良し悪しもわかってきました。 印象に残っている表現:I’m pretty sure, but not absolutely certain. (質問に答える形で) 5. ラジオ 通勤の車の中でラジオを聞いてます。NPRというチャンネルで世界やローカルのニュースをストーリー仕立てで放送します。ストーリー仕立てというのは、例えば効果音や気の利いた音楽が流れたり、インタビューが挿入されたりなどです。さらに毎日異なった特集もあります。例えば旬の食材に関したもの、脳の不思議な働きを解明した研究やはたまた天体や社会科学の最先端などなどです。聴きやすい標準英語ですし、楽しくニュースが聞けます。また道路の混雑状況も10分おきくらいに放送されますので、とても有用です。ところでラジオのCMが面白いです。例えばどこぞのお店でセールがあるよといったCMの最後には、すんごい早口でそのセールの細かい条件をまくしたてます。 印象に残っている表現:Buy one get one free. (非常にゆっくりした口調で。そして、、、)Restrictions apply. See store for details. (かなりの早口で) 2014/09/29
編集者より
執筆者紹介:
井上さんとは、2013年3月、ワシントンDC日本学術振興会主催の会でお会いしました。全米に拡がる日本人コミュニティーの幾つかが集まった会で、UJA結成のきっかけとなりました。井上さんは、2003年から2008年の間、スタンフォード大でポスドク修業をされ、2008年に全米トップランクのジョンホプキンス大医学部でテニュアトラックの助教綬のポジションを獲得されました。研究成果をはじめ様々な業績が認められ、2014年に准教授へと昇進されております。お会いしたときには、その豊かなお髭と落ち着いた物腰から、かなり年輩なのかなと遠目に思いました。しかし、第一印象は見事に外れて、お話ししてみると気さくに、何でもお答えしてくださる、ラボメンバー、サイエンス、そしてお子様を愛される非常に親しみやすい井上さんでした。ご自身の体験を役立てて欲しいと、2014年9月の日本学術振興会海外フェローの会では、ジョブトークに関する秘訣を講演されました。そうした秘訣には、私自身もっと早く知っておきたかったこと等、多々ありました。次のご寄稿がいまより楽しみです。井上さん、有り難うございます!(佐々木敦朗) 井上さんのラボについては、以下のウェブからご覧になれます。 http://pages.jh.edu/~inouelab/home.html
編集後記:
井上さんは現在もアメリカでPIとしてラボの運営をしていて、毎日が英語の環境で研究生活を過ごしています。「英語の上達方法」は海外で研究生活を始めるとほとんどすべての日本人が興味のある話題だと思います。私は特に日常会話が苦手で、はじめのうちは特に電話で銀行関連の口座の質問をするときやインターネットの接続に関する質問をした時は冷や汗をかいたのを覚えています。個人的にもテレビ番組は実践的な英会話を学ぶのにうってつけだと思います。私は朝はGood Morning America(嫁さんがキャスターのJoshが好きで毎日これでした)、帰ってきてからはよくThe Big Bang Theoryの再放送を見ていましたのを思い出しました。あと日本でもiTunesのPodCastなどを聞くとほとんど海外で生活しているのと同じように英語に触れることができると思いますので、ぜひ試してみてください!
編集者:
Atsuo Sasaki