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食農テーブル囲みましょ〜笑顔の繋がり「いただきます」〜

株式会社 ひとつぶ代表取締役 髙橋亮太

株式会社 ひとつぶ取締役、食農テーブル実行委員長 野中大輔

UJA Project Manager 水田勝利

UJA 編集部Vice Chair、コミュ連Vice Chair 土肥栄祐


こんにちは、株式会社ひとつぶの髙橋と申します。私は都心でサラリーマンをやっていましたが、地元新潟での農業の実態を同級生から聞いて、「何か力になりたい」と帰郷し、エンジニアの野中さんと2人で、農家さん支援など、やってみたいという地域の声を実現する会社”ひとつぶ”(ソーシャルベンチャー)をはじめました。海外で研究される方々が主に寄稿されるUJAガジェットさんに記事を依頼されたときは本当に良いのかな?と、思いつつも、UJAさんはSDGs(Sustinable Development Goals:持続可能な開発目標 )活動にも積極的に取り組んでいらっしゃることから、この度とても素敵なご縁でUJAさんとも協働で実施した”食農テーブル”についてお話させて下さい。



ほんの”ひとつぶ”のきっかけ


ひとつぶは、農機具レンタスサービス構築、商品開発・販路拡大支援など、農家さん(農家希望者さん)に対するサポート事業をメインに事業展開しています。


実家の農家を継いだ同級生(長部さん)は、高齢化が進む中、田んぼがどんどん減っていくことに危機感を覚え、田んぼどろんこ農業体験や食育活動を行なっていました。お互いの仕事の合間に雑談レベルの意見交換をする中で、個人の活動だけでは限界があると相談を受け”ひとつぶ”でも何か出来ないだろうかと考えるようになりました。株式会社ひとつぶの由来は、この同級生が標榜している「あせひとつぶ、こめひとつぶ」です。実は会社(ひとつぶ)も彼が営む長部農場にある農作業小屋の2階にあります。


ひとつぶ・野中さんは、長岡の農業を特産物である枝豆をきっかけに盛り上げていこうと企画されている「世界えだまめ早食い選手権」の事務局を通じて、新潟県内農家との交流から将来の農業分野に強い関心を持っており、また、「新潟市100人カイギ」の運営など、多方面で色んな人と繋がっていました。そんな時に声をかけてくださったのが偶然新潟市に赴任したUJAガジェットを編集している土肥さんでした。ここからUJAさんとの歩みがスタートしました。


UJAでSDGs活動を担当されている土肥さんとの出会いは正にセレンディピティ。2020年末に近年では珍しい程の大雪となり、土肥さんが、新潟駅前の日用品店でスコップを購入した後、新潟駅中の日本酒バーで「新潟市100人カイギ」で登壇予定だった方と意気投合しました。そこから、「新潟市100人カイギ」の発起人からひとつぶの野中さんをご紹介いただき・・・とわらしべ長者の様な展開で、土肥さんと私たちは繋がりました。この偶然に偶然が重なった出会いを、我々の中では”スコップの奇跡2020冬”と呼んでいます。



食農テーブル開催まで

(打ち合わせの写真:水田さん(左上)、野中さん(右上)、土肥さん(左下)、高橋(右下)の4人)

乗りかかった船!と、土肥さんが長岡市にある長部農場(新潟市から約60㎞)まで足を運んでくださり意見交換をしたところ、新潟の農業は放置されている問題が山積しており、農業≒食の問題ということで、まず農業の問題をもっと広い視野で考えてみよう!となりました。


そこで、これまたUJAで活動されているミネソタ大学の水田さんをご紹介頂きました。水田さんはフィールドワークから人工衛星写真や土壌データまで最新技術を幅広く取り入れたスマート農業の研究者で、是非、日本の農業の課題にも貢献したい、と申し出て下さり、地域で食と農に関わる現場の問題から地域の名産、そして最先端知見も盛り込んだイベントをしてみてはどうか?という話になりました。



その時、長岡市周辺では、様々な立場からSDGsにつながる面白い活動を個々で行っている方々がいるのですが、個人単位では知っているけどお互いが繋がっていないという現実に気付きました。そこで、課題感を持って色んな立場から活動をしている人達の活動を紹介して、登壇者も参加者も一緒に共鳴できる仲間を掘り起こして繋がって行き、かつ、海外の広い視点からのインプットもある取り組みにして若い人たちに夢も伝えられるイベントにしよう!と、メンバーの中で話がどんどん膨らみました。


ロゴに関しては、”テーブルから夢が芽吹いてく感じで!”という無茶振りに、Designe on Nexusさんが素敵なデザインで応えて下さいました。研究と留学にフォーカスするUJAさんと新潟農業という一見無縁な関係が、たまたまのご縁とほんの”ひとつぶ”のきっかけから協働して、稲穂が実る様に仲間が増えてイベントへ繋がる、そんな奇跡が起きたのです。



取り敢えず挑戦してみた

(食農テーブルのロゴ:Designe on Nexus(DON)の福井さんによる素敵なデザインです。)

委員長の野中さんを含め皆さんのサポートもあり、2021年12月4日に第1回食農テーブルを開催できました。コロナ禍でしたが会場36名・オンライン24名と満員御礼でした。オンラインではオーストラリアと10都道府県から参加頂きました。


6人の登壇者からそれぞれの取り組みをお話しいただき、本当に色んな活動をしている人達がいることを実感しました。



就農者の減少に対し、23年前から子供たちへの農業体験教育を提供されている長部さん(長部農場)や、都会から地域へ就農した女性たちの交流会(農(no)の輪(wa))を主催される佐藤さんからは、地域との繋がりやコミュニティが持続可能な農業に重要であるとお話し頂きました。


スマート農業に関しては、農機具の自動運転に重要な設置型のGPS基地局の共有を目指す「新潟農業GPSコンソーシアム」を設立された加藤さんの活動や、また、人工衛星によるリモートセンシングや、世界の農業ベンチャーの実際をアメリカのスマート農業研究者の水田さんからオンラインでお話し頂き、スマート農業の実際や最先端の知見を共有頂きました。


最後は、市場に出回らないB級品を健康的な料理やスムージーとしてHacchiカフェで提供されている星さんや、未利用魚を使った商品開発に取り組まれ、B級品枝豆を使った枝豆豆板醤も商品化された(参加者へのプレゼントも頂きました)地域おこし協力隊の服部さんからお話を頂き、消費者の立場から食物ロスへ取り組めることや、未利用なものが数多く残されていることを学ばせて頂きました。



生産⇨改善⇨消費という”作り手から食卓に至る一連の流れの中で、各点にある課題に、課題感を持って取り組まれている方が一同に会することで、食と農に関する課題が点から線となり、登壇者と参加者で課題と課題感を共有し、人と人の”新しいつながり”も結びつけることができました。



さて、イベント開催までのプロセスにおいてUJAさんと協働で進めてまいりました。イベントの大枠を作ることから始まり、登壇者募集、後援・協力団体集め、新潟県への消費促進助成金申請で奔走し、酒販店と酒蔵には当日の日本酒試飲と販売、農機具屋さんにはスマート農機具や農業用ドローンの展示を手配頂きました。その甲斐もあって、是非自分もこの活動に関わりたい!と参画され、今では新しいプロジェクトや未利用品を使った新規商品開発に繋がり、少しずつ輪が広がってきています。継続した繋がりが築けたと同時に、今年は自治体を変えて第二回食農テーブルを長岡市栃尾にて開催することにもなりました!地域が変われば人も課題も変わる訳で、第一回での学びと繋がりを活かしながら、多くの方々へ現状を知っていただき、点と点を繋いで線にする、そんな貴重な機会にしたいと思っています。

詳細はこちら:https://f-a-table02.peatix.com



地域でも世界と繋がれる・世界を身近に


UJAさんと一緒に取り組んだことで、UJAキャリアデベロップ部WGさんのご協力の元、世界でキャリアを積まれた方々とのキャリア座談会開催にもつながりました。公認会計士から国際的な視点を持って、産学連携のエコシステム構築や政策提言に取り組まれる芦澤美智子さん、国際保健を学ばれJICAでの活動を通して課題解決の必要性から研究にも取り組まれる橋本謙さん、薬学部の学生時代から新興国での取り組みが、アフリカでの起業へと繋がった角田弥央代さん(UJA ガジェット 6〜8号の3号連載)、この超豪華なお三方とのざっくばらんなオンライン座談会は、非常に好評で、参加した学生さんの感想には『留学が決まっており、事前の心配事に対して聞くことができて大変良かった』といったものもありました。


UJAさんと農業を切り口とした異分野融合は、当初の予想を超えて、お互いの活動を活性化させるだけでなく、普段知り合えない方とも繋がれる貴重なネットワーキングの機会にもなりました。国境、領域、さまざまな境界を飛び越えて、偏見なく多様な目線を共有しながら、積極的に課題に取り組むことで、日本のSDGs活動を一緒に盛り上げていけると考えています。今後も、UJAさんとともにこれから発展させたいと考えています。

(CARRER DEVELOPMENT座談会のパンフレット)

食農テーブルの目指すもの


”笑顔のつながりいただきます”、暖かい食事があるテーブルを囲んで笑顔にならない人はいないと思います。悲しい出来事があった時でも、きっと前向ける力をくれると信じています。私たちは、この”食農テーブル”で信頼できる仲間と出会う機会と心から大切だと思う課題を話し合うことの大切さに気付きました。そんな仲間と、暖かいテーブルを囲むように笑顔で繋がって、地域の課題から、世界に繋がる課題へと、繋いでいくことが出来たら素敵だな、と考えています。


この度はこの原稿を執筆する機会を頂きまして、また沢山の出会いと繋がりのきっかけをくれた仲間達に感謝申し上げます。食農テーブルは、まだよちよち歩きの段階ですが、これからもみなさんの”笑顔のつながり”を、もっと繋いでいけるよう取り組んで参りますので応援を宜しくお願い申し上げます!



著者略歴:食農テーブル実行委員


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