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日本人研究者インタビュー企画「イリノイ大学 山田かおりさん」

UJAインタビュー企画では、海外で研究を行う日本人をお招きし、海外体験にまつわる様々なお話を伺っています。

今回はイリノイ大学シカゴ校 薬理・再生医療学科でAssistant Professorを務める山田かおりさんにインタビューをさせていただきました。さらに今回は、オンラインフォームからインタビュアー希望として登録いただいた磯田珠奈子さんにも参加していただきました。





山田かおりさんは東京大学大学院博士課程に在学中に、共同研究先の研究室へ3ヶ月の短期の予定でイリノイ大学へ渡航されました。その滞在中に研究が面白い方向へどんどんと進み、その実験成果を軸に2007年に博士号を取得され、そのままイリノイ大学で研究キャリアを続けていかれることとなります。その後ポスドク、特任助教と進み、2019年にNIHのR01グラントを獲得して現在は独立してご自身の研究室を運営されています。山田ラボでは血管新生(既存の血管から分岐して新しい血管が作られる現象)に重要な役割を担う血管内皮細胞増殖因子受容体が、細胞内でキネシンタンパク質によってどのように輸送され機能発揮しているのか、その細胞生理学的意義について研究をすすめられており、ポスドクは随時募集中とのことです。





磯田珠奈子さんは東京学芸大学教育学部附属高等学校をご卒業ののち京都大学へ進学され、現在は京都大学大学院博士後期課程に在学して小山時隆研究室でウキクサの生物時計の研究をされています。来年度の初めからイギリス・John Innes Centreへ半年間の留学を予定してらっしゃり、またその後のキャリアパスについても海外での研究を視野にいれて検討されています。女性として研究を続けることの苦悩や葛藤、そのなかで留学が与える影響について実践者に聞いてみたいということでご登録をいただきました。そこで、同じ女性としてアメリカで長期間研究を続けられ、その中で結婚・出産・育児もされてきた山田かおりさんにお願いをし、今回のインタビューのマッチングとなりました。

前半のPart 1では、山田さんが博士課程からアメリカに渡航されたきっかけ、その後のイリノイでの研究生活のこと、日米での研究環境の違いなどについて伺いました。留学する際のお金のこと、交渉のこと、英語のこと。さらに留学先の研究室をどう選べばいいかなど、留学に関する大事な情報をたくさん語っていただきました。

その中でも、「ラボ選び(例えばビッグラボか若いイケイケのラボか)、それは自分に何が合っているかを考え抜くしかない」というところが印象に残りました。以前私がケンタッキー大学の河島さんにインタビューさせて頂いた際にもほとんど同じことをおっしゃっていました。また、以前自分が進路に悩んでいた際に自分の恩師から「どうすれば自分が一番ハッピーになれるか考えなさい」と助言を頂いたことも思い出しました。留学に限らず、研究のことも進路のことも私生活のことも色々と悩むことは多いですが、どんなときも「自分自身ととことん向き合うこと」が大事なのだなと感じました。





Part 2では、磯田さんがどうしても聞きたかったということに山田さんに答えていただきました。家庭や子どもを持とうと思うとどうしても避けられないキャリアブレイクのこと、パートナーが転勤や異動になった際にどうすればいいのか、セクハラにどう対応すればいいか、など、女性同士ならではのインタビューが繰り広げられました。こういう話を女性同士が盛り上がって話すのを横で聞いているというのはなかなか貴重な体験で、色々と多くのことを学ばせていただきました。一番印象に残ったのは、女性研究者をめぐる現状は極めて「アンフェアだ」という山田さんの強い思いでした。具体的なことは山田さんの口で語られているのを聞いていただくのが一番ですが、男性も女性も常に、「これはフェアなのか?」というのを問い続けていくことが重要であるのだなと感じました。


また、日本では男性の異動に女性がついていくことが圧倒的に多いように感じますが、欧米ではその逆のケースも多く見聞きします。そこには「パートナーにもポジションを与えて欲しい」という交渉が当たり前にできるという環境や風土の差があるように感じました。最近日本でも女性の異動に男性がついていくケースを少しづづ見かけるようになってきましたが、「そうなんだ!?」「旦那さん大変だね」というようなリアクションがまだ多くあるように思います。どちらのケースも当たり前になり、男性も女性もフェアに自分自身のキャリアを考え発展させていけるような世界になっていくと良いなと思いました。





Full versionには、Part1&2には含めきれなかった話をたくさん収録しています。3ヶ月のはずが17年になった理由、日米のラボの違い、ビザの話、差別の話、ライフプランの計画、など、本編と同様に重要な情報がたくさん出てきますので、ぜひこちらもご覧ください。

インタビュー後に山田さん磯田さんとお話をしているなかで、お二人の間にいつのまにか素敵な信頼関係がうまれていて、またいつでも連絡してほしい、いつかアメリカに来たら食事でも、という話に進んでいくのを眺めながらとても嬉しくなりました。このインタビュー企画は、視聴者の皆様に情報をお届けすることに加えて、こうして人と人をつないでいく活動でもあります。日本人研究者同士が国境・分野の枠を超えてつながり、そこから新しい何かが生まれていくことをサポートするこそがUJAの役割でありこのインタビュー企画の根幹のひとつです。

様々なインタビュー企画を介して縁を繋いでネットワークを広げ、日本と海外で活躍する日本人研究者の皆さんの力となっていけるよう、UJAはこれからも活動を続けていきます。これを読んでくださっている研究者の皆さん、学生の皆さん、高校生の皆さん、このネットワークの一部になってみたくありませんか?世界中に広がる人たちとつながって、みたことのない世界へ手を伸ばしてみたくはありませんか?私たちは皆さんのご協力があって成り立っています。インタビューされてもいい/されてみたい、インタビューしてもいい/してみたい、という皆さんはどんどんこちらからご応募ください!

また、このインタビュー企画を中から応援してくださる人も募集しています。UJAの中に入ってインタビュー企画を推進したい、動画編集を手伝いたい/もっと良い編集をしたい、モデレータとしていろんなインタビューに参加したい、UJAの他の活動にも協力したい、そんな皆さんの声を求めています。UJAへの参画に興味のある皆さんはどんどんこちらからメンバー登録をお願いします!

UJAインタビュー企画はまだまだ続きます!現在編集チームがアメリカ・シンシナティ大学の佐々木敦朗さん、ポーランド・ヤギェウォ大学の山田健志さんへのインタビュー動画を編集中で、こちらは近日公開予定です!他にも随時収録を進めていっておりますので、ご期待ください!


文章:中野亮平トーマス






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